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トルシエ日本について Dai 02/4/18(木) 0:37
 ┗ Re(1):トルシエ日本について Dai 02/4/18(木) 0:39

トルシエ日本について
 Dai E-MAILWEB  - 02/4/18(木) 0:37 -

引用なし
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   1、ディフェンダーラインでの役割

まず、フラット3というシステムを考える時に、ディフェンスラインの動かし方に特徴があります。3バックの3人でブロックを組んで、「フラット3の原則」に沿ってボールを中心にラインの上げ下げを行うものです。そうすることで、相手FWを牽制し、スペースを与えないことで守備における無駄な労力を省き、コンパクトフィールドの形成を助けます。フリーでゴール前に侵入された時にも、組織的にブロックで守ることで、極力リスクを抑え、ゴールを守ります。少ない人数で守ろうとする部分もあるかと思います。

この動き方を理解し、ある程度できる選手でないと、トルシエ日本の中には入ってこれないでしょうね。これは約束事ですし、60%の戦術の部分ですから、やってもらわないと困ります。

この点において、例えば、宮本は優れていると思います。森岡も、宮本ほどではないにしろ、コルドバ以降まずまずやっていると思います。ジュビロ磐田の試合を見る限りでは、鈴木・田中・大岩も十分このグループの中に入ってこれる可能性を持っていると思います。

フラット3のセンターに宮本を支持する理由というのは、この部分をもっとしっかりやろうよってことだと思います。まずは、どんな場面でも、ラインで上げ下げしようよと。さらに、ラインに凸凹を作らなければ、相手に無駄なスペースを与えることはないから、少なくとも、五分五分の駆け引きまでは持って来れるだろうと。

もし、「ディフェンスの前に侵入されてしまった時」には、遅れて下手に個人勝負にいくよりも、フラットなブロックで守った方が安全で、「3人で相手との距離を3メートルに保ちながら半身でディレイする」のが原則的な動き方ということですね。そういうやり方で、宮本が上手く守った場面はありましたね。森岡も上手く守った場面がありましたね。どんな時でもゾーンバランスに気をつけそれを保とうとする宮本の能力というのは理解できます。ここまでの視点において、宮本の戦術的な能力に関しては私は満足です。森岡もすごい良くなってきていますよね。浩二も、松田も合格点はあげられるかと思います。私自身、実際にディフェンスをする時の1つのモデルとして参考にしています。

Re(1):トルシエ日本について
 Dai E-MAILWEB  - 02/4/18(木) 0:39 -

引用なし
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   2、チームとしてのディフェンス

 では、ここからは、もう1つのポイントについて考えてみようと思います。それは、チームとしての守り方の部分です。これは、ディフェンダーラインでの仕事、ミッドフィルダーラインでの仕事、フォワードラインでの仕事という部分ではなく、チームの11人、全ての選手に要求されることです。

 まず、トルシエの導入したこのシステムは、「ゾーンバランスをベースにしたボール中心の守備」です。(ゾーンマーキング・ボールマーキングなど)

 前後をコンパクトにし、各選手間同士の距離を緊密に保ち、ゾーンバランスを保った中で、ボールや相手選手の位置・流れ・動きから、次の局面を予測し、組織だってボールの動きに反応していくことで、前線から、主体的、かつ攻撃的な守備をしやすくします。

 この時、ゾーンバランスを保ち、組織だってボールの動きに反応していくということを「約束事」としているのが、このシステムの特徴で、ボールが動けば、ゾーンが動き、収縮がなされ、組織だって相手ボールに対してプレッシャーをかけていき、仮にそこで奪えなくても、また次へと、約束事が守られている限りはプレッシングが継続的に機能していきます。

 マンマーキングでもなく、ゾーンに入ってきた選手をマークして受け渡していくというやり方でもない、このトルシエのシステムにおいて最も大切なことは、「受動的ではなく、能動的、主体的に守る」ということです。アグレッシブにボールを狙っていく気持ち、積極的な姿勢がとても重要です。次の局面を予測し、自信を持って迷うことなく積極的に自らボールを狙うという攻撃的で前向きな気持ちが絶対に必要になります。それがなくなればこのシステムは崩壊します。

 そういったことを踏まえた上で、では、今までF.Jで行ってきた「より効率よく、早く守るにはどうしたらいいか?」といういくつかの議論をまとめてみたいと思います。

 例えば、サイドでのプレスがかいくぐられ、中央に展開されそうな場面。例えば、ダイレクトプレーの意識から、クサビのパスを狙っているような場面。その他いろいろあると思いますが、そういった時、ディフェンダーの前方視野に相手選手が来ていて、ボールがそこへでることが予測できた場合。フラット3の原則にそるのであれば、まずは、ゾーンの移動と収縮活動の再開のために、フラットにラインを形成することからはじめるのかもしれません。しかしです。そこでミッドフィルダーではなくて、ディフェンダーがボールへ行った方が早い場面があると思うのです。(私のディフェンス経験的にもそういう場面があります。)そこでファーストプレッシャーに行って欲しいのです。そこへボールが出ることを予測して、素早くアプローチをかけて、ボールが出たところで相手を自由にさせないで欲しいのです。できればパスカットを狙って欲しいですし、それが無理でも、最低限、直接、制限をかけてまわりの選手に奪わせて欲しい。その時には、早く激しくダイレクトに相手にプレッシャーをかけて、相手に前を向かせなかったり、相手がボールに視野を向けルックアップさせないようにしたり、そういうことで、相手に自由にさせないで欲しいのです。そして、例えば、同時に他の2人のディフェンダーが素早くラインを作っても良いですし、ボールサイドへ意識がいっていたために、体勢がやや悪かったミッドフィルダーが素早くラインのカバーに入ってもいいと思うのです。そうしながらオートマティズムが発動され組織的にボールを奪っていくことができるはずです。

 もし、ここでフラットなラインありきになると、一歩、出遅れたタイミングのアプローチスピードになってしまって、「はい、行った、すかっと交わされた、やばい戻れ、ピンチ」ってことになってしまうと思うのです。もしくは、ラインの前で、フリーで持たれた、前向いた、ワンタッチで、出た、強豪国のスーパーなFWと、ライン内で勝負ってことが頻繁にでてくる可能性があると思うのです。危険なゾーンで相手(顔も)に前を向かれたくないですからね。ラインを作ってから行くということの前の段階で、状況によっては、ミッドフィルダーが行くよりも、ディフェンダーが行ったほうが早いのならば、迷わず1人行って、他の2人でライン作る、もしくはディフェンダー以外の選手を含めた3人でラインを作るってことを同時進行でやったほうがいいと思うのです。どうしてもボールの方に皆の意識がいっていますから、その時にまわりが見えている選手ならば、次の局面を事前に察知して、ボールがでそうな危険な場所へ素早く移動して、自ら気を利かせてケアーしてあげて、オートマティズムで再組織化をして欲しいのです。

 さらに、これは前だけの話ではないです。横にも、後ろにも同じことがいえます。3バックのサイドについては強豪国相手では非常に危険なエリアになることがわかっています。とすると、そこをケアーしなければいけません。そこで、トルシエは両サイドのミッドフィルダーを下げることでそれに対処しようとしました。一時的な手段としてならば、これもありだと思います。ところが、それが恒常的になるのは好ましくありません。何故なら、両サイドが下がれば、当然、前がかりなプレスが効かなくなりますし、攻守の切り替えも遅くなりますし、必要以上にスタミナを費やすことになりますし、押されっぱなしになってしまうからです。どんどん固定的になってきて、流動性もなくなります。パワーバランス的に攻撃の切り札が使いにくくもなります。そこで耐えるということも確かに必要なのですが、それは一時的なものとしたいです。

 当たり前のことを言うようですが、3バックのサイドのケアーを常にサイドハーフにやらせてはいけないと思うのです。例えば、ボールと相手を見ながら読みを働かせ、予測して、サイドへボールが出て来るぞとわかったら、もっと素早く近くのディフェンダーがケアーに行って欲しいですし、もしくは近くのボランチがもっとケアーに行って欲しいのです。3−5−2、3−6−1というフォーメーションをとっている以上は、まえがかりなプレッシングで攻撃的に中盤支配と行きたいものですよね。攻守の切り替えをもっともっと早くしていきたいですよね。それを4バック、5バックという形になる時間が一時的には良いにしろ、増えていってしまうのはこのチームの狙いとしてはあまり良い傾向ではないわけですから、鋭い読みと素早い反応で近くの選手がそこをカバーしていくのが良いかと思うのです。

 後ろについてもそうです。強豪国相手の場合、ラインに並ばれて一瞬の隙をついてややオフサイド気味で裏をつかれ、そこに中盤、もしくはバックスからピンポイントでパスがでてくるというシーンは予想されます。審判によってはオフサイドを取らないかもしれません。当然、裏に出てきそうなときには、下がるというのがフラット3の原則ですが、その原則について相手も研究していて、絶妙なタイミングで、抜け出してくるようなスーパーな選手が絶対にいると思います。そういう戦いがワールドカップだと私は思うのです。そういう選手を相手にする場合、もう原則だけでは通用しません。本能的でもいいですから、来ると感じて、走りだしてきた相手と、ボールの状況をみて、予測して、反応して、思い切って、カバーリングへ先に走ることも時には必要になるかと思います。そして、取れるか取れないかギリギリのタイミングでしょうが、そこで勝負して、そして勝って欲しい。ラインコントロールをベースにしながら、時にはフラット3システムを利用した「個人の判断力」がものをいってくる場面もあると思うのです。原則をベースに、個人の30%の部分で、様々な駆け引きや、早さというものですよね。もしそれができれば、さらにラインコントロールがやりやすくなると思うのです。ラインでもコントロールできるし、個人でもいけるという2つの武器を持つことになると思うのです。主たる守り方はラインで良いと思うのですが、時には、個人勝負も有効に働く時があって、そういうのも駆け引きとしてやっていったほうが、楽しいと思うのです。システム的にも、そういったことが、全ての選手に要求されているわけですし。

 ある局面では、DF登録の選手だけで、ラインを形成する必要はないと思うのです。MF登録の選手がディフェンスラインでプレーするほうが早いのならそれでもいいと思うのです。DF登録の選手がアプローチに行った方が早いならそれでもいいと思うのです。そういったコンビネーション、オートマティズム、個性的なプレーというのは日本代表の選手の力や組織力を持ってすればできると思いますし、それができれば世界の早さにも対抗できると思うのです。

 ボールに対してアグレッシブにアプローチし、素早く反応して欲しい。もっと思い切って、自信を持って、ボールと相手の動きから、次の局面を予測をして、先に動いて欲しいのです。そうすればより機能的にいけるはずなのです。相手は、速いパス回しを使った大きな展開のサッカーをものすごいスピードでやってきます。そういう相手に対するのに、ゾーンの移動、収縮、ボールと相手の動きと予測と反応をもっと激しくスピーディーに行わなければなりません。まだ、まだ、遅いのです。もっとダイレクトにいかないとプレッシャーがかからないはずです。一発で制限かけられるぐらいの厳しさや早さが欲しい。失敗してもそういう前向きなチャレンジであるならばこのシステムはそうそう崩れません。そういう特性のシステムだからです。

 もっともっと、ボールを支配する。どんな相手に対しても、自分たちのプレッシングサッカーをする。オートマティズムを持った組織力もあるのですからね。

 ワールドユース、アジアカップ、そこで見た、流動性溢れる攻撃的なサッカー。面白かったし、強かった。見たいのです。選手達もやりたいはずです。アルゼンチン代表や、フランス代表相手に対しても。しっかりとした早い守備から、早くて流れるような攻撃へと繋げていきたいわけです。ラインコントロールと同時進行で、行けるならば思い切ってファーストプレッシャーを仕掛けて欲しい。そして、セカンドプレッシャーをかけて、奪って、攻撃へと繋げて欲しい。

 そのためには、1つの要因として、そういう早さがもっと必要なんではないかと思うのです。フィールドの11人全員に。

 まあ、いきなり、そんなにはできないにしても、チームの戦術を守りながら、かつそういうチャレンジをしている選手は好きです。チャレンジという点に関しては、浩二も、松田も、森岡も、宮本も、やっていると思います。(中澤・鈴木・大岩・田中誠・茶野などにも、さらに、下の世代にも期待しています。Jリーグ全体のレベルアップにもつながりますし。)

 欲を言うと、宮本と森岡に関してはセンターバックとして、純粋にそのプレーぶりを見た限りでは、世界トップレベルとはいえないと思いますし、早さに関して不満な部分もあるので、もっともっとですね。二人ともワールドカップ後には海外移籍も視野に入れているでしょうからね。本番で、すごく良いプレーをしてくれるように応援したいです。

 最後になりましたが、チームの守り方として考えた時に、もう少しディフェンダーに機動力のアップとプレーエリアの拡大を求め、ディフェンダーとミッドフィルダーの連携力をアップさせて欲しいなと思っています。ボールに対してダイレクトなディフェンスの意識を持って欲しいです。

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