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フラット3とラインブレイクー今、抱える矛盾 glider 01/8/29(水) 23:30

   Re(2):日本の独自の事情 glider 01/10/14(日) 9:08
   日本の取るべきサッカースタイル GAITI 01/10/15(月) 18:53
   Re(1):日本の取るべきサッカースタイル GAITI 01/10/15(月) 19:26
   トルシエの方向性 seri 01/10/16(火) 11:15
   Re(1):日本の取るべきサッカースタイル glider 01/10/17(水) 7:06
   Re(2):日本の取るべきサッカースタイル GAITI 01/10/17(水) 19:00
   Re(3):日本の取るべきサッカースタイル glider 01/10/18(木) 16:59

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日本の取るべきサッカースタイル
 GAITI  - 01/10/15(月) 18:53 -

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   >gliderさん
>Daiさん

えーとkindさんが言うように、本当に長くなってしまいましたね。(笑)
私がシステムや組織にこだわりを見せる前提を話したのですが
私の言いたいことを100%伝えるには、これから日本がどのようなサッカースタイルを取るべきか,日本独自のサッカースタイルとはどのようなものか、について考えていることを言わないと伝わらないと思います。

また長くなりそうです、すみません。(笑)

まず解りやすく、これからの話の流れを書きますね

1、ヨーロッパ型近代サッカー(この約束事がオートマティズムというのかな?)と言われているものとはどういうものか
2、日本はこれをただコピーするだけではだめだ
3、じゃあ、日本の取るべきサッカースタイルはなにか
4、どうしてこれが日本独自が可能なのか
5、この戦術に適しているのはどの選手か


1、まず、ヨーロッパ型近代サッカーについてです。
簡単に言います。
大前提として守備優先のシステムです。どんな状況でも守備力は落としたくありません。
(フランスの守備力はイタリアのカテナチオに匹敵します、しかもあれほどバランスの悪い布陣を取ることなくです)
それで、攻撃は中盤での組織的なプレスで高い位置でボールを取ることのよって、相手の守備組織が整わないうちにゴールしてしまう、と言うことが基本です。
(ある意味カウンターに近いかもしれません)
攻撃について大事なものがもう1つ、セットプレーです。

このシステムの最大の欠点は、引いた相手、組織的な守りが崩れていない相手だと自分たちから崩すことは大変難しいと言うことです。(このシステムじゃなくても難しいですが)
それの解決の手段としてセットプレーがあります。
セットプレーが現代サッカーで重要性が増したのはこのようなわけです。

ここで断っておきたいことは,
ミランでサッキが引いた4−4−2(DFラインも中盤もフラット)や
ユーべでリッピが引いた3−4−1−2(この2つが代表的ですね)
というようなフォーメーションの問題ではなく、このような考え方が近代サッカーと言うことです。(この注釈は余計ですね)

Jリーグでいえばジェフのサッカーがまさにこれです。
あの監督は優秀ですね、よく組織されています。

それとこれが重要なのですが、この近代サッカーは、私が今まで言ってきた自由にポジションチェンジする流動的なサッカーとは、ある意味違うということです。
(この違いは微妙ですから、後で説明します)


2、これを日本がそのまま取ってはいけない理由です。
前にも言いましたが,これはプレスサッカーです。
フィジカルがものすごく重要です。
そこでフィジカルについてです。
確かにフィジカルは後天的にも鍛えることは充分に可能です。
しかし、無計画にこれを鍛えると日本人の長所である俊敏性やスピードが失われてしまうかもしれません。(カズがそうだとラモスは言っています)
最近の選手はこれらをいかに落とさないでフィジカルを鍛えるか慎重にやっています。

そのほか、もちろん体の使い方、タイミングなどあります。これらはどんなサッカーをする上でも大切な要素なのでどんどん鍛えてください。

しかし、足の長さや懐の深さなどどうしょうもないことも多いですし(しかもこの「間合いの広さ」がプレスサッカーでものすごく有利な要素になったりする)、そのほかでも骨格などから違ったりします。

日本人がこれからいくらフィジカルを鍛えても本質的にこの戦術はヨーロッパ人が自分たちのオーダーメイドに作ったものだから追いつくことはないでしょう。

それにメンタリティーについてもこれは点さえ取られなければ、たとえ点が取れなくて0−0でもオッケーというヨーロピアンなメンタリティー(トルシエいわく引き分けのメンタリティーってところですね)から来た戦術なので、その辺も日本人にはあいません。


3、これから日本の取るべきシステム
簡単に言うと、このヨーロッパ型近代サッカーを破るサッカーです。
先ほど、近代サッカーでは引いた相手や組織的に守備が整っている相手は崩すことが難しいと言いました。

でも、引いた相手や組織的守備の相手を崩すことが可能なサッカーはあります。
レアルなどのスペースサッカーです。

ダイレクトでどんどんパスを回してプレスをかいくぐり、お互いがポジションチェンジを繰り返し、スペースを作りそれを利用する、とにかくないスペースは作る、相手のゾーンを崩すと言うところでしょうか。

このサッカーに要求される能力はテクニックとアジリティです。
(まさに日本人にぴったり)

Jリーグでいうといわずもがな、ジュビロ磐田です。

先ほど言ったこのサッカーと近代サッカーの違いを説明します。
はっきり言ってものすごく似ています、守備戦術は同じと言ってもいいくらいです。
違いは「選手選択」です。

先ほど言ったように近代サッカーでは守備力は絶対落としたくはありません。
よって選手選択にもそれが現れます。
つまりフィジカル、守備力が最優先で選ばれます。

反対にスペースサッカーは、乱暴に言うとテクニック、アジリティなどが高い選手を出来るだけ使いたい、という感じで選ばれます。(笑)

もちろんレヴェルの高い選手は、すべての能力を持っていますが,やはり人間ですから苦手なものもあります。
例えば、ジダンはアジリティが足りません、レアルで苦戦しているのはそのためでしょう。
フランスは、やはり選手の圧倒的なレベルの高さから、守備力を中心に選んでも攻撃力もすばらしいです。
しかし、やはり引いた相手や守備組織が整っている相手を崩すことは苦手としています。
もちろんポジションチェンジも行いますが、あまり効果的には行えていません。
選んでいる選手が本質的にこういう事を得意としませんから。
例えばカリエールなどは得意でしょうが、彼では守備に不安があります、
それはチームコンセプトと違いますし、おそらく起用されないでしょう。


それで日本の話です。
もちろん守備については、この近代サッカーのオートマティズムをもって守らなければいけません。
それで、攻撃についてはスペースサッカーです。
ようするに、日本的なテクニックやアジリティの高い選手に近代サッカーの守備とスペースサッカーの攻撃をやらせると言うことです。

でも実は、ここまではレアルやポルトガル代表の普通のスペースサッカーと違いません。

この戦術は、言うまでもなくテクニカルな選手を多く配置する分守備のリスクが大きいです。
そこでレアルやポルトガルでは4バックをひいて効率的にスペースを埋め、バックの高い個人能力に依存する形で守備のバランスを取っています。

日本では守備の個人能力不足からこれすらも出来ません、そこでフラット3のご登場です。
ラインコントロールによって、個人で出来るだけあたらないようにすることと、ラインを高く保つことによっての中盤のプレスの助けなどをします。

で、このバックラインは本質的にはこのスペースサッカーに合っています。
しかし、これでは、中盤のリスクをバックで減らすどころか、かけて何倍にも増やしています。(笑)

これが、日本の戦術がタイトロープのように微妙になるもう1つの要因でもあります。


すみません、長くなりすぎました。
また次回続きを書きます。

Re(1):日本の取るべきサッカースタイル
 GAITI  - 01/10/15(月) 19:26 -

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   >Daiさん
と書いたのは、実はこれはDaiさんのスレットに書こうと思っていた内容だったからです。(笑)

>守備が組織的に整った相手
これは近代サッカーのオートマティズムをもった組織的なチームの守備と定義してください

>タイトロープのようになる
アジアカップの日本代表はこのスペースサッカーにかなり近いところまで行きました。
現在もその名残が中途半端な形で残っているので、(とくに1番の欠点であるこの安定感のなさだけは見事に残っている)このようになっていると思われます。


ところで、コンフェデのカメルーン戦は日本は見事な戦いをしました。
あれは、みごとなヨーロッパ型近代サッカーでした。(笑)
日本人の能力ではほぼ完璧な完成度でしょう。
あのサッカーでアレ以上はもう出来ません、あれで負けたらフィジカルの差でしょうし、残念ながら南米やヨーロッパの強豪国には多分負けるでしょう。
(セネガルなどには勝てるでしょうが、アフリカンの1番苦手な戦術ですから、ちなみにアフリカの中で組織的といわれているセネガル、南アフリカでさえ近代サッカーのオートマティズム(中盤の組織的プレスなど)は身につけていない)

カメルーン戦でだけなぜあれだけの完成度を誇ったかと言うと、間違いなく選手選択ですね。
右に明神を入れることにより、中盤のプレスが劇的によくなりました。

別に波戸を悪く言うつもりは全くありません、しかし波戸がオートマティズムを学ぶ時間があったでしょうか。しかも彼のポジションは日本の変則左肩上がりのシステムの右サイドです。1番難しい、1番高い戦術理解度が必要とされるポジションです。

波戸は頭の悪い選手ではありませんので、ベルデニックが村井や坂本に半年でプレスを仕込んだように、もう少し時間があればいけたかもしれませんが。

トルシエの方向性
 seri  - 01/10/16(火) 11:15 -

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   GAITIさんの言うことには全面的に賛同です。
やはり個人能力、フィジガル能力などを考えた場合
欧州の選手との圧倒的不利は感じずに入られません。
日本が同様の戦術をとるなら結果はおのずとみえてきます。

ではなぜトルシエがこの戦術に至ったかを簡単に考えてみたいとおもいます。
やはり原因はサンドニでの大敗でしょう。
あのときとった戦術が3ボランチでなくても負けていたのは確かですが
3ボランチであったために日本の良さが消えてしまったのも確かです。

きっとトルシエはこう思ったはずです、
「私の考えは間違っていた。やはりあれはアジアだから通用したのであって
欧州相手には通用しないのだ。その前に守備から何とかしなくては・・・」
「守備をしっかり組み立ててから攻撃力を上げる。攻撃は守備の目処が
立ってから考えよう。守備のために短期的に攻撃力が下がっても仕方ない。」
その後のトルシエの発言を考えても妥当な内容だと思います。

その後はご存知の通りコンフェデで近代サッカーの集大成とも言える試合を
わずかではありますが見せてくれました。

ただ残念なことにトルシエの考えは間違っていませんが方向性は間違っています。
トルシエは近頃、
「フィジカルをもっと上げなければならない。」
「メンタリティーが足りない。」
「個人の能力が足りないからもっと海外でプレイすべきだ。」
「もう戦術的に私がやることはない。後は選手が能力を上げるだけだ。」
などと発言しています。

これはまったくもって正しいです。正しすぎます。
この戦術を遂行するには上にあげたものは欠かせないものばかりです。
ただ悲しいことにどれも日本人では到底実現不可能な課題ばかりが並んでいます。
要は、この戦術を実行することは可能でも実際には強くはならないのです。
なぜなら強さとは極めて相対的なものですから似たような戦術を
もっと適正のある欧州のチームにとられたら日本は歯が立たないということです。

つまりトルシエは戦術を遂行することは得意でもそれがこの国にあっているかは
考えない理想主義者的な視点から監督をしていることになります。
結論はどちらかといえばクラブチーム向きの監督ですね。
ただ戦術家としては一流でも、選手の能力を見誤るところは弱点ですね。

余談ですが、彼がアフリカでもかたくなに自分の戦術を曲げなかったために
南アフリカが無残に散ったことがあるのは有名な話ですね。

Re(1):日本の取るべきサッカースタイル
 glider E-MAILWEB  - 01/10/17(水) 7:06 -

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   ▼GAITIさん:


ほんとうに、ずいぶん長いスレッドになりましたね(笑)
いくつか、賛成できる点と説明が必要だと思われる点と反論のある点があったので、GAITIさんの揚げたポイントに関して、ぼくの考えを書いて行きます。

>この約束事がオートマティズムというのかな?

日本は「ゾーンバランスド&ボールオリエンテッド・ディフェンス」を敷いています。
トルシエの言う「オートマティスム」とは、意味は時として多岐にも渡るようですが、つまりは「動きの約束事」をオートマティックに遂行する能力のこと。
あたかも、考え、判断する前に身体が自動的に動くがごとくに遂行すること。
そして、その動きの約束事の一番の基盤となるものは、「ボールの動きによるゾーンの移動・収縮」「ゾーンバランスのキープ=選手間の緊密な距離のキープ」です。
基本的には、これを守ることによって各選手間の距離は近く保たれることになるのでプレス&フォロー、そして攻撃への切り替えはスピーディに行われ、ロストボールから守備への切り替えも同様にスピーディに行える、というのがその主旨です。
ボールの移動によりゾーンを移動/圧縮し、1stプレッシャーとフォロー、そしてそのカヴァー、カヴァーのカヴァー、攻撃においてのスペースメイキングとフリースペースへの進入、そういうことによって人がポジションを入れ替えていてもゾーンバランスと選手間の距離はキープされるのでボール奪取〜攻撃、ボールロスト〜守備への切り替えはタイムラグを生ずることなく行える。
そして、ゾーンの素早い移動とカヴァー、連続的なスペースへの動きだしとそのスピードを考えれば、「流動性」は必要不可欠なものです。

>セットプレーの重要性


これはまったく賛成です。
統計的にもセットプレイは得点率が最も高い。
そのことは相手がどのように戦ってこようと変わらないことですが。

>ヨーロッパ型近代サッカー

ヨーロッパ型近代サッカーと一口に言っても、その「プレッシング・サッカー」はもう世界的なものであり、例えばアルゼンチンもそういう意味ではヨーロッパ型のプレッシングサッカーですが、かと言ってフランスともイングランドとも違います。
守備優先とは言いがたいし。
アルゼンチン人がオランダ人やアフリカ人に比べ、「間合い」が広いかと言えばそんなことはなく、フィジカルが強いかと言えばそんなこともなく、でも何故に今アルゼンチンがフランスと並んで「2強」と評されるかと言うならば一番単純に言えば「速いから」です。
何度も言うようで恐縮ですが、「流動的なサッカー」とは、趣味趣向の問題などでは決してなく、それは速度的な必然です。
世界を制しようとするチーム、そういうチームと同じ土俵で勝負せんと欲するチームならば、それは「マスト」です。
フランスは充分に「流動的」です。当然アルゼンチンも。

上記に書いたようなトルシエの「オートマティスム」、日本の理想の状態も確かに「ヨーロッパ型プレッシング・サッカー」ですが、一言で言うなら「要素の純粋抽出性」において他チームとの差異はやはり存在します。
ぼくの意見を言わせてもらえれば、サッキから始った「プレッシング・サッカー」はもう遠くサッキのミランを越え(あれはもうすでに前近代)、そこから「発展して行ったもの」は欧州に留まらずすでに世界的なスタンダードであり、それでもやはり各国のいろいろな要素による差異は必然的・宿命的にあり、当然日本もまたその中にあって日本独自のものは「出てしまう」ものとしてもある。
トルシエの方法論は欧州スタンダードからの発展系であり欧州のメンタリティの中にもあるが、それは幸運にも要請される今の日本の状況に偶然合致したものとも言える。
(このへんのことは、ブルサポでのぼくのコラム、
http://bluish.jp/html/glider/g006.html
http://bluish.jp/html/glider/g005.html
で思う所を詳しく書きました。書いたのはトルシエ・バッシング盛んなりし頃だったので少々現在との皮膚感覚の差も感じますが、基本的にはぼくの見方は変わっていないので、面倒でなければ御一読を)

何よりも、フィジカルと運動量が一番に重視されるサッカーの時代は、もう終わっています。
むろん、「大事なひとつの要素」であることには変わらないでしょうが、勝敗を分ける最大の要素は個人とチームのスピード、野球人さんが説明してくれた「相手の動きを先読みする観察眼」「確かな戦術眼」「爆発的な初動のパワー(とスピード)」ということにどんどんなって行くでしょう。
そうしてますます上がって行くスピードの中では、プレッシングサッカー、スペースサッカーと分けては考えられません。
それは同一のもの。そして攻撃も守備も同一のもの。

フランスの守備力の高さは、守備重視で選考した故に「守備力」が高いのではなく「ボールキープ力」の高さ、「支配力」の高さによるものでもあるということです。
選手の選考は、守備力、攻撃力、スピード、テクニック、アジリティ、戦術眼、判断力、すべての複合的要素を鑑みて、相手との兼ね合い、試合の展望と戦略(戦術ではなく)、そして身体とメンタルのコンディション、等々から最適の「組み合わせ」を探るしかないのです。
そこに至るまでの「チーム作り」の面から見ても、「ウチはプレッシングサッカーだから」とか「スペースサッカーだから」といった分け方で選ばれるのではなく、全体の相対的な力量とコンセプトとのバランスや、選べる中での特性、特徴といった要素を生かしつつ作って行くしかないのです。
その中での最大のチームとしてのフレキシビリティを持たせつつ。

トルシエの「ゾーンバランスド&ボールオリエンテッド・フットボール」も、大きな括りの「プレッシング・サッカー」です。
くり返しになりますが、従来のものとの差異は、その発展性、いわば純粋抽出性です。
「ボールオリエンテッド」なゾーンの移動と収縮は、プレッシングサッカーの常識ですが、日本代表のものは組織的徹底性と純粋性において差異が見られます。
その先にある、選手個人の判断としての囚われない動きは、強豪達には前提としてあるもの。
トルシエがやったオートマティスムの徹底は、そこに向けての下準備、いわばそれをやりやすくするためのベースでもあるでしょう。
もともと、戦術なんてそういうものですし。

システムや戦術なんて実は2次的なもの。
大切なのは個人と、その個人同士の結びつき、そしてそのチームのチームとしての完成度です。
それがピッチ上のリアル。
それがチームの本当の「個性」になって行く。そこからだけが本物の「チームの個性」を生みだします。

そして、どんな戦術だろうと、有名選手がいようといなかろうと、高いモティベーションを持って「ひとつ」になったチームは強いのです、いつの時代も。

Re(2):日本の取るべきサッカースタイル
 GAITI  - 01/10/17(水) 19:00 -

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   gliderさん:

>ほんとうに、ずいぶん長いスレッドになりましたね(笑)

全くその通りですね。自分でもこんなに長くなると思っていませんでした。(笑)
しかし、これでもかなり省略して書いたので伝わらなかったこともありましたね。

で実は、gliderさんのレスを読みましたが,自分と意識を共有している部分も多々ありました。
違いは、ちょっとしたサッカー観の違いだと思います。
今回はその共有する部分について書きます。(たぶん誤解もあると思うので)


>トルシエの言う「オートマティスム」とは、意味は時として多岐にも渡るようですが、

そうですね、彼はいろいろ場合によって使い分けているとおもいます。

>つまりは「動きの約束事」をオートマティックに遂行する能力のこと。

このことに関しても異に関しても異論はありません。

>ヨーロッパ型近代サッカーと一口に言っても、その「プレッシング・サッカー」はもう世界的なものであり、例えばアルゼンチンもそういう意味ではヨーロッパ型のプレッシングサッカーですが、かと言ってフランスともイングランドとも違います。

もちろんそうです。ヨーロッパ型というよりもヨーロッパ発祥の近代サッカーとでも捉えててください。


>上記に書いたようなトルシエの「オートマティスム」、日本の理想の状態も確かに「ヨーロッパ型プレッシング・サッカー」ですが、一言で言うなら「要素の純粋抽出性」において他チームとの差異はやはり存在します。
>ぼくの意見を言わせてもらえれば、サッキから始った「プレッシング・サッカー」はもう遠くサッキのミランを越え(あれはもうすでに前近代)、そこから「発展して行ったもの」は欧州に留まらずすでに世界的なスタンダードであり、それでもやはり各国のいろいろな要素による差異は必然的・宿命的にあり、当然日本もまたその中にあって日本独自のものは「出てしまう」ものとしてもある。
>トルシエの方法論は欧州スタンダードからの発展系であり欧州のメンタリティの中にもあるが、それは幸運にも要請される今の日本の状況に偶然合致したものとも言える。

ここも私の意見は全く同じです。
前回も書きましたが,プレッシングサッカーといっても、近代サッカーのオートマティズムを前提として「選手選択」や「その国のサッカーに対するメンタリティー」などでそれはいくらでも姿を変えますから。
(オートマティズムといっても戦術の1歩手前の下準備みたいなものですから)
それと、プレッシングサッカーを前提とした各国のサッカースタイルについてですが、たいていは明確な完成後のイメージをもって出来る、というよりもその国の固有の考え方や選手のタイプによって偶然出来るものでしょう。

もう少しこれについて説明させてください。
で、この近代サッカーをベースに出来ると予想されるであろうサッカースタイルについて書きます。(現実に今あるか、ないかにかかわらず、あくまで生まれることが可能なサッカースタイルについてです)

1、まずは、いかにもヨーロッパのテクニックはなくてもフィジカルだけはあると言う国に生まれがちな守備の極北、守備最優先の選手選考から生まれる(オフェンス時の)ポジションチェンジなんて起こりようもないような(あくまでイメージです、実際はやっているでしょう)固い感じの布陣です。戦術としては乱暴にカウンターと分類されるでしょう。
(例 フランスのリールなど)

2、もっと実力のある選手がそろえば、1から守備能力を落とさないで、ボール支配率が高い攻守にバランスの取れた布陣が取れます。
(このへんが、サッキやリッピが取った比較的スタンダードなものでしょうか)

3、そこからさらにFW、中盤などにテクニカルな選手をそろえると私の言ったスペースサッカーになります。
(例 レアルなど)

4、こうなったらDFラインまでテクニカルな選手にしてみませんか。
スパースペースサッカー、狂気の攻撃サッカーの極北。(笑)
(例 私が言った日本の将来の目指すサッカースタイル)


ここで断っておきたいことは、近代サッカーのオートマティズムをもつ選手を11人そろえると例外なく強いチームが出来るでしょう。(最低限の個人能力を持っていればですが)(そういうチームは実際は思ったよりも少ないです)

その結果できるであろう1から4のサッカースタイルは、どれも近代サッカーであり、どこも強いと言うことですね。
1のチームももちろん強いです。彼らの守備を破ることは大変でしょうし、カウンターといっても旧来のカウンターとは一線を画す近代サッカーのカウンターです。

私は,フランスを一番スタンダードな2と分類し、前回2のサッカースタイルの特徴を書いたまでです。それはこのように選手選択によってすぐ変わるものなので、あくまでも便宜上のものとしてみてください。
とくにフランスはいくらでも変身可能でしょう。(笑)

  E-MAIL  - 01/10/18(木) 16:59 -

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▼GAITIさん:

>全くその通りですね。自分でもこんなに長くなると思っていませんでした。(笑)

ずいぶんと独善的な書き方をしてしまっているのに(そんなつもりは本当はないのですが、ついそうなってしまいます。それでよく人を怒らせてしまいます。書き方って難しいですね)、真摯におつきあい下さって本当に感謝しております。

2点だけ。

>オートマティズムといっても戦術の1歩手前の下準備みたいなものですから

ぼくは、オートマティスムがチーム全体に浸透されれば戦術的には監督がやるべきことは終わっていると考えます。
後はピッチ上で選手達がコンビネーションを高め、工夫して行くべきこと。
アイデアや個性を絡めつつ、個と個の繋がりを強化して行くこと。
そうなれば監督の仕事は、組み合わせのバランスを見極めること、どうバランスを取って行くか、良いバランスの選択枝を増やし、それをどう維持して行くか、に移行して行くと思います。
さらに重要な「ピッチの外の部分」の仕事、チームのまとまり、モティベーションの維持、選手・スタッフのチーム全体のファミリーとしての人間的部分やオーガナイズの部分の仕事がもっとも大きいわけですし。
戦術なんて信号機みたいなもんです。
監督はそれを作って走りやすくしてやるだけ。
どう走るかは選手達がきめるべきこと。
必要ならば信号無視したってかまわない。
「自分で安全だと判断したら赤信号でも渡れ」と言ったのもトルシエだし(笑)

>で、この近代サッカーをベースに出来ると予想されるであろうサッカースタイルについて書きます。

2、と3、は同じだとぼくは捉えています。
例えば 2、のチーム同士があたり、プレッシングスピードがどんどん上がって行けば攻撃においてはスペースサッカーにならざるを得ません。
ならなかった方が主導権を失うことになるでしょう。
そして、4、 とも関連しますが、そうして極度に(一昔前にくらべれば)狭められスピードアップされたプレイエリアの中ではそうしたスピードの中で正確にボールを扱う技術、野球人さんへのmitsuさんのレスに書かれているような >1,情報の取得→2,判断→3,動作、の一連の動き といった要素の速さ正確さ無駄のなさ、そうしたことはFWやMFに限らずDFでも必要になってくるでしょう。
別に、意表を突くようなパスが出せたりトリッキーな技術などは必要ではないけれど、正確なボールコントロール技術、ダイレクトで正確に繋げることができる技術や30m以上のロングパスを素早く正確に蹴れる技術、キックの質、そういったものはすでに必要不可欠だと思います。

日本代表のシステムは生来的にそうした「スペースサッカー」に対応したものです。
いえ、プレッシング・サッカーというもの自体、そうなって行くのが正常な進化だと思います。
相手との関係やコンディションも大きいですが、1、 が2、にならないのは単純にレベルが低いから、2、が3、にならないのはコンビネーション不足か遅いだけ、3、が4、にならないのは守備能力との兼ね合いだけ、その中で何に力をかけてどういうサッカーを指向するかは選手の個性と文化次第だと思います。

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