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フラット3とラインブレイクー今、抱える矛盾 glider 01/8/29(水) 23:30

   Re(1):日本の取るべきサッカースタイル glider 01/10/17(水) 7:06
   Re(2):日本の取るべきサッカースタイル GAITI 01/10/17(水) 19:00
   Re(3):日本の取るべきサッカースタイル glider 01/10/18(木) 16:59

Re(1):日本の取るべきサッカースタイル
 glider E-MAILWEB  - 01/10/17(水) 7:06 -

引用なし
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   ▼GAITIさん:


ほんとうに、ずいぶん長いスレッドになりましたね(笑)
いくつか、賛成できる点と説明が必要だと思われる点と反論のある点があったので、GAITIさんの揚げたポイントに関して、ぼくの考えを書いて行きます。

>この約束事がオートマティズムというのかな?

日本は「ゾーンバランスド&ボールオリエンテッド・ディフェンス」を敷いています。
トルシエの言う「オートマティスム」とは、意味は時として多岐にも渡るようですが、つまりは「動きの約束事」をオートマティックに遂行する能力のこと。
あたかも、考え、判断する前に身体が自動的に動くがごとくに遂行すること。
そして、その動きの約束事の一番の基盤となるものは、「ボールの動きによるゾーンの移動・収縮」「ゾーンバランスのキープ=選手間の緊密な距離のキープ」です。
基本的には、これを守ることによって各選手間の距離は近く保たれることになるのでプレス&フォロー、そして攻撃への切り替えはスピーディに行われ、ロストボールから守備への切り替えも同様にスピーディに行える、というのがその主旨です。
ボールの移動によりゾーンを移動/圧縮し、1stプレッシャーとフォロー、そしてそのカヴァー、カヴァーのカヴァー、攻撃においてのスペースメイキングとフリースペースへの進入、そういうことによって人がポジションを入れ替えていてもゾーンバランスと選手間の距離はキープされるのでボール奪取〜攻撃、ボールロスト〜守備への切り替えはタイムラグを生ずることなく行える。
そして、ゾーンの素早い移動とカヴァー、連続的なスペースへの動きだしとそのスピードを考えれば、「流動性」は必要不可欠なものです。

>セットプレーの重要性


これはまったく賛成です。
統計的にもセットプレイは得点率が最も高い。
そのことは相手がどのように戦ってこようと変わらないことですが。

>ヨーロッパ型近代サッカー

ヨーロッパ型近代サッカーと一口に言っても、その「プレッシング・サッカー」はもう世界的なものであり、例えばアルゼンチンもそういう意味ではヨーロッパ型のプレッシングサッカーですが、かと言ってフランスともイングランドとも違います。
守備優先とは言いがたいし。
アルゼンチン人がオランダ人やアフリカ人に比べ、「間合い」が広いかと言えばそんなことはなく、フィジカルが強いかと言えばそんなこともなく、でも何故に今アルゼンチンがフランスと並んで「2強」と評されるかと言うならば一番単純に言えば「速いから」です。
何度も言うようで恐縮ですが、「流動的なサッカー」とは、趣味趣向の問題などでは決してなく、それは速度的な必然です。
世界を制しようとするチーム、そういうチームと同じ土俵で勝負せんと欲するチームならば、それは「マスト」です。
フランスは充分に「流動的」です。当然アルゼンチンも。

上記に書いたようなトルシエの「オートマティスム」、日本の理想の状態も確かに「ヨーロッパ型プレッシング・サッカー」ですが、一言で言うなら「要素の純粋抽出性」において他チームとの差異はやはり存在します。
ぼくの意見を言わせてもらえれば、サッキから始った「プレッシング・サッカー」はもう遠くサッキのミランを越え(あれはもうすでに前近代)、そこから「発展して行ったもの」は欧州に留まらずすでに世界的なスタンダードであり、それでもやはり各国のいろいろな要素による差異は必然的・宿命的にあり、当然日本もまたその中にあって日本独自のものは「出てしまう」ものとしてもある。
トルシエの方法論は欧州スタンダードからの発展系であり欧州のメンタリティの中にもあるが、それは幸運にも要請される今の日本の状況に偶然合致したものとも言える。
(このへんのことは、ブルサポでのぼくのコラム、
http://bluish.jp/html/glider/g006.html
http://bluish.jp/html/glider/g005.html
で思う所を詳しく書きました。書いたのはトルシエ・バッシング盛んなりし頃だったので少々現在との皮膚感覚の差も感じますが、基本的にはぼくの見方は変わっていないので、面倒でなければ御一読を)

何よりも、フィジカルと運動量が一番に重視されるサッカーの時代は、もう終わっています。
むろん、「大事なひとつの要素」であることには変わらないでしょうが、勝敗を分ける最大の要素は個人とチームのスピード、野球人さんが説明してくれた「相手の動きを先読みする観察眼」「確かな戦術眼」「爆発的な初動のパワー(とスピード)」ということにどんどんなって行くでしょう。
そうしてますます上がって行くスピードの中では、プレッシングサッカー、スペースサッカーと分けては考えられません。
それは同一のもの。そして攻撃も守備も同一のもの。

フランスの守備力の高さは、守備重視で選考した故に「守備力」が高いのではなく「ボールキープ力」の高さ、「支配力」の高さによるものでもあるということです。
選手の選考は、守備力、攻撃力、スピード、テクニック、アジリティ、戦術眼、判断力、すべての複合的要素を鑑みて、相手との兼ね合い、試合の展望と戦略(戦術ではなく)、そして身体とメンタルのコンディション、等々から最適の「組み合わせ」を探るしかないのです。
そこに至るまでの「チーム作り」の面から見ても、「ウチはプレッシングサッカーだから」とか「スペースサッカーだから」といった分け方で選ばれるのではなく、全体の相対的な力量とコンセプトとのバランスや、選べる中での特性、特徴といった要素を生かしつつ作って行くしかないのです。
その中での最大のチームとしてのフレキシビリティを持たせつつ。

トルシエの「ゾーンバランスド&ボールオリエンテッド・フットボール」も、大きな括りの「プレッシング・サッカー」です。
くり返しになりますが、従来のものとの差異は、その発展性、いわば純粋抽出性です。
「ボールオリエンテッド」なゾーンの移動と収縮は、プレッシングサッカーの常識ですが、日本代表のものは組織的徹底性と純粋性において差異が見られます。
その先にある、選手個人の判断としての囚われない動きは、強豪達には前提としてあるもの。
トルシエがやったオートマティスムの徹底は、そこに向けての下準備、いわばそれをやりやすくするためのベースでもあるでしょう。
もともと、戦術なんてそういうものですし。

システムや戦術なんて実は2次的なもの。
大切なのは個人と、その個人同士の結びつき、そしてそのチームのチームとしての完成度です。
それがピッチ上のリアル。
それがチームの本当の「個性」になって行く。そこからだけが本物の「チームの個性」を生みだします。

そして、どんな戦術だろうと、有名選手がいようといなかろうと、高いモティベーションを持って「ひとつ」になったチームは強いのです、いつの時代も。

Re(2):日本の取るべきサッカースタイル
 GAITI  - 01/10/17(水) 19:00 -

引用なし
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   gliderさん:

>ほんとうに、ずいぶん長いスレッドになりましたね(笑)

全くその通りですね。自分でもこんなに長くなると思っていませんでした。(笑)
しかし、これでもかなり省略して書いたので伝わらなかったこともありましたね。

で実は、gliderさんのレスを読みましたが,自分と意識を共有している部分も多々ありました。
違いは、ちょっとしたサッカー観の違いだと思います。
今回はその共有する部分について書きます。(たぶん誤解もあると思うので)


>トルシエの言う「オートマティスム」とは、意味は時として多岐にも渡るようですが、

そうですね、彼はいろいろ場合によって使い分けているとおもいます。

>つまりは「動きの約束事」をオートマティックに遂行する能力のこと。

このことに関しても異に関しても異論はありません。

>ヨーロッパ型近代サッカーと一口に言っても、その「プレッシング・サッカー」はもう世界的なものであり、例えばアルゼンチンもそういう意味ではヨーロッパ型のプレッシングサッカーですが、かと言ってフランスともイングランドとも違います。

もちろんそうです。ヨーロッパ型というよりもヨーロッパ発祥の近代サッカーとでも捉えててください。


>上記に書いたようなトルシエの「オートマティスム」、日本の理想の状態も確かに「ヨーロッパ型プレッシング・サッカー」ですが、一言で言うなら「要素の純粋抽出性」において他チームとの差異はやはり存在します。
>ぼくの意見を言わせてもらえれば、サッキから始った「プレッシング・サッカー」はもう遠くサッキのミランを越え(あれはもうすでに前近代)、そこから「発展して行ったもの」は欧州に留まらずすでに世界的なスタンダードであり、それでもやはり各国のいろいろな要素による差異は必然的・宿命的にあり、当然日本もまたその中にあって日本独自のものは「出てしまう」ものとしてもある。
>トルシエの方法論は欧州スタンダードからの発展系であり欧州のメンタリティの中にもあるが、それは幸運にも要請される今の日本の状況に偶然合致したものとも言える。

ここも私の意見は全く同じです。
前回も書きましたが,プレッシングサッカーといっても、近代サッカーのオートマティズムを前提として「選手選択」や「その国のサッカーに対するメンタリティー」などでそれはいくらでも姿を変えますから。
(オートマティズムといっても戦術の1歩手前の下準備みたいなものですから)
それと、プレッシングサッカーを前提とした各国のサッカースタイルについてですが、たいていは明確な完成後のイメージをもって出来る、というよりもその国の固有の考え方や選手のタイプによって偶然出来るものでしょう。

もう少しこれについて説明させてください。
で、この近代サッカーをベースに出来ると予想されるであろうサッカースタイルについて書きます。(現実に今あるか、ないかにかかわらず、あくまで生まれることが可能なサッカースタイルについてです)

1、まずは、いかにもヨーロッパのテクニックはなくてもフィジカルだけはあると言う国に生まれがちな守備の極北、守備最優先の選手選考から生まれる(オフェンス時の)ポジションチェンジなんて起こりようもないような(あくまでイメージです、実際はやっているでしょう)固い感じの布陣です。戦術としては乱暴にカウンターと分類されるでしょう。
(例 フランスのリールなど)

2、もっと実力のある選手がそろえば、1から守備能力を落とさないで、ボール支配率が高い攻守にバランスの取れた布陣が取れます。
(このへんが、サッキやリッピが取った比較的スタンダードなものでしょうか)

3、そこからさらにFW、中盤などにテクニカルな選手をそろえると私の言ったスペースサッカーになります。
(例 レアルなど)

4、こうなったらDFラインまでテクニカルな選手にしてみませんか。
スパースペースサッカー、狂気の攻撃サッカーの極北。(笑)
(例 私が言った日本の将来の目指すサッカースタイル)


ここで断っておきたいことは、近代サッカーのオートマティズムをもつ選手を11人そろえると例外なく強いチームが出来るでしょう。(最低限の個人能力を持っていればですが)(そういうチームは実際は思ったよりも少ないです)

その結果できるであろう1から4のサッカースタイルは、どれも近代サッカーであり、どこも強いと言うことですね。
1のチームももちろん強いです。彼らの守備を破ることは大変でしょうし、カウンターといっても旧来のカウンターとは一線を画す近代サッカーのカウンターです。

私は,フランスを一番スタンダードな2と分類し、前回2のサッカースタイルの特徴を書いたまでです。それはこのように選手選択によってすぐ変わるものなので、あくまでも便宜上のものとしてみてください。
とくにフランスはいくらでも変身可能でしょう。(笑)

  E-MAIL  - 01/10/18(木) 16:59 -

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subject Re(3):日本の取るべきサッカースタイル
time 1003391975
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web http://homepage.mac.com/beggars_banquet/index.html

▼GAITIさん:

>全くその通りですね。自分でもこんなに長くなると思っていませんでした。(笑)

ずいぶんと独善的な書き方をしてしまっているのに(そんなつもりは本当はないのですが、ついそうなってしまいます。それでよく人を怒らせてしまいます。書き方って難しいですね)、真摯におつきあい下さって本当に感謝しております。

2点だけ。

>オートマティズムといっても戦術の1歩手前の下準備みたいなものですから

ぼくは、オートマティスムがチーム全体に浸透されれば戦術的には監督がやるべきことは終わっていると考えます。
後はピッチ上で選手達がコンビネーションを高め、工夫して行くべきこと。
アイデアや個性を絡めつつ、個と個の繋がりを強化して行くこと。
そうなれば監督の仕事は、組み合わせのバランスを見極めること、どうバランスを取って行くか、良いバランスの選択枝を増やし、それをどう維持して行くか、に移行して行くと思います。
さらに重要な「ピッチの外の部分」の仕事、チームのまとまり、モティベーションの維持、選手・スタッフのチーム全体のファミリーとしての人間的部分やオーガナイズの部分の仕事がもっとも大きいわけですし。
戦術なんて信号機みたいなもんです。
監督はそれを作って走りやすくしてやるだけ。
どう走るかは選手達がきめるべきこと。
必要ならば信号無視したってかまわない。
「自分で安全だと判断したら赤信号でも渡れ」と言ったのもトルシエだし(笑)

>で、この近代サッカーをベースに出来ると予想されるであろうサッカースタイルについて書きます。

2、と3、は同じだとぼくは捉えています。
例えば 2、のチーム同士があたり、プレッシングスピードがどんどん上がって行けば攻撃においてはスペースサッカーにならざるを得ません。
ならなかった方が主導権を失うことになるでしょう。
そして、4、 とも関連しますが、そうして極度に(一昔前にくらべれば)狭められスピードアップされたプレイエリアの中ではそうしたスピードの中で正確にボールを扱う技術、野球人さんへのmitsuさんのレスに書かれているような >1,情報の取得→2,判断→3,動作、の一連の動き といった要素の速さ正確さ無駄のなさ、そうしたことはFWやMFに限らずDFでも必要になってくるでしょう。
別に、意表を突くようなパスが出せたりトリッキーな技術などは必要ではないけれど、正確なボールコントロール技術、ダイレクトで正確に繋げることができる技術や30m以上のロングパスを素早く正確に蹴れる技術、キックの質、そういったものはすでに必要不可欠だと思います。

日本代表のシステムは生来的にそうした「スペースサッカー」に対応したものです。
いえ、プレッシング・サッカーというもの自体、そうなって行くのが正常な進化だと思います。
相手との関係やコンディションも大きいですが、1、 が2、にならないのは単純にレベルが低いから、2、が3、にならないのはコンビネーション不足か遅いだけ、3、が4、にならないのは守備能力との兼ね合いだけ、その中で何に力をかけてどういうサッカーを指向するかは選手の個性と文化次第だと思います。

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