|
フォーメーションというのは、ピッチ上にいる11人のデフォルトのポジショニングということですよね。
しかし、ボールの位置でポジショニングのデフォルトを作るというのが今のサッカーなので、もうフォーメーションは1種類しか存在しないといっても過言ではないと思います。
ここにボールがあったら、こういう風になって、ここにボールがあったら、こういう風になって、ここにボールがあったら、こういう風になってってのを、3−5−2になったら、4−4−2になったり、3−6−1になったり、3−3−3−1になったり、3−7になったり、5−4−1になったりしながら、試合中その姿をがんがん変えていってしまうわけです。さらに、同じ3−5−2でも、何種類もの3−5−2を使うことになります。
ですから、デフォルトフォーメーションについて語る意味はないわけです。4−4−2にはこういう長所と短所があって、3−5−2にはこういう長所と短所があってというのが今までのフォーメーションの語りだったと思いますが、今はそれを状況によって相当複数使いわけちゃう時代ですからね。しかも、フォーメーションといわれるものは意識せずに。それにフォーメーション論はあまりにもサッカーというものを単純化してとらえすぎていて、全く現実的ではないですから。言葉遊びとしては十分に使えますけど(笑)
キックオフの時のフォーメーションはこう、試合中はボールの位置で何十通りのフォーメーションになって、相手ゴールキックの時はこういうふうなフォーメーションになるって具合ですよね。んで、それは中に入ってる選手は、別にフォーメーションをどうしようという意識は全くなく、回りとのポジショニングバランスに気を使い、ボールホルダー、ボールレシーバー、有効スペースなどをみて、各自が次の展開を読んで、プレッシャー&パスカットなどのボールカットにいくわけですね。そしてそれをシステムとしてやる。
○ ○
○ ○ ○ ○
○ ○ ○ ○
こういうフラット型を選択した場合・・・と語ったところで、実際はこんな感じになったりします。
○ ○ ○
○ ○
○
○ ○
○ ○ ○
フラット型を選択したチームの試合中です。これが現実です。さらに
○ ○
○ ○ ○
○ ○ ○ ○
○
こんな形になってしまったりします。4−4−2フラット型の試合中ですよ。これ(笑)
驚くことに
○ ○
○ ○ ○ ○
○ ○ ○ ○
こういう形にはまずなりません。そう、キックオフとゴールキック時ぐらいしか。
だから、構造上どうのこうのと語っても意味ないわけです。
○
○ ○
○ ○ ○
○ ○ ○ ○
4−4−2フラットでこういう形にだってできるのですから。これをデフォルトとして。
ただし、フォーメーション論のなかでひとつだけ可能性があるのが、フラットラインですね。フラットな最終ラインを形成しておくことは重要だというのは可能性がありそうです。ラインという形にはこだわろうという。その中の人間が誰であるかは別にいいのですが。なぜかといえば、フラットで守れていない時(凸凹でオンサイドゾーンができて)にスペース突かれて失点するケースがわりとあるからです。さらにいえばボールホルダーにプレッシャーがかかっていない状況でも、ラインで守りきることができるんじゃないだろうかというところで。コーナーキックなんかは、ボールホルダーにプレッシャーがかかっていないのに、ゾーンで守れるわけですし。キエーボも結構そういうところあるみたいですし、中盤が4人しかいなくても、フラットな最終ラインで守りきるアーセナルみたいなところもありますし。
それからトルシエの形作りですが、3ラインを作ってボールを危険エリアに侵入させないようにブロックで守るという部分は徹底させてるようです。そこでは3−5−2とかそういう話は全くしないとは思いますけど。10人のある決まった形というのは求めていませんね。10人でのポジショニングの距離感についてはうるさく言ってるとは思いますが。ただ、後ろは中央に3人でライン作って守ろうっていう話はしそうですね。これがフォーメーションの話といえばそうかもしれません。
まあどちらにしろ既存のフォーメーションの話では、今の「フォーメーション」が語れないのですよね。だから、どうしてもフォーメーションを語りたい場合には新しい物差しを用意するしかないでしょうね。
今はフォーメーションすらないのかもしれませんし(笑)というかもともとそんなものは存在してなかったかもしれませんしね。単にピッチ上で描かれた現象の一端を表したにすぎない単純化されたモデルだったということのみで。
フットサルもやるんでそのあたりはもうかなり経験的につかんでますけどね。形よりバランスですね。
フォーメーションの話ってほんと現実的じゃないのでそれを指導の現場に持ち込んでも使えないのですよね。実際。机上の空論みたいに思われて馬鹿にされて終ってしまうし(笑)監督さんの頭の中だけでならまあフォーメーション論しててもよいかもしれないのですが、選手にそれは伝わらないってことは覚悟しないといけませんね。現実的ではない話ですから。ピッチに思い描いたフォーメーションを描くことはできないですし。ほんの一瞬、1秒ぐらいならそれができあがるかもしれないですが、もう1秒後には違う形になってしまいますし(笑)ピッチに思い描いたゾーンバランスと収縮活動は描けるでしょうけどね。
スタメン発表とか、選手交代とか、その時に、お前はここのポジションに入って、こういう働きをして欲しいみたいなことでは使いますけどね。ただピッチに入ったら、ボールにあわせて動かないといけないのでもう3−5−2とかの意識は使えないですけどね。自分がどこのエリアにいて、まわりとの距離はどれくらいだってのなら使いますけど。
|
|