|
今回のポーランド戦を見て感じたことは、戦術的に、肉体的に、精神的に強くなってきたなあということです。チームとして「力強さ」を感じたのはやはり戦術的な部分、フィジカル的(運動量なども含めて)な部分と、この精神的な部分でしょうね。全体的にはグラさんの大嫌いなドイツ的な要素が強かったかなと思います。勤勉さと、肉体的な強さを武器に、ルールにのっとって、良く走り、よく戦う集団ってやつですね。大和魂炸裂(笑)
そこで出場したメンバーを見ると、非常にキャプテンシー、リーダーシップを持った選手が多いことに気がつきます。
ゴールキーパー川口、ディフェンダー松田、宮本、ミッドフィルダー小野、中田と、ざっと上げてもはっきりと指名できそうなキャプテン候補が5人います。今や精神的にも代表の柱である戸田も入れれば6人ですね。これは素晴らしいですね。
さて、日本代表のサッカー。現状のところ、「予選突破はできる力を持ってきた」というのが私の認識です。「強い」サッカーはできそうです。が、しかし、世界に対して「センセーショナル」を巻き起こせるかどうかというと厳しいと言わざるを得ません。「速い・早い」サッカーはまだまだでしょうね。組織的でアグレッシブな良いチームという評価止まりでしょうかね。世界的にはシドニー五輪の時のアメリカのような評価なはずですよ。
中盤に関しては既に魅力的なんですが、いかんせん、ディフェンダーとFWですね。特にディフェンスの中央と、センターフォワードの威力が弱い。この二つに関しては、日本人の限界を感じてしまうポジションですね。ですから、戦術的な要素でやりくりする以外に方法がないポジションかと思います。
FWでいえば、チーム戦術的なプレー、献身的なチェイシング、DFならば、ラインコントロールや体の向き、半身の姿勢、ディレイ、顔振りでの牽制などの戦術的、駆け引き的なプレー。まあ、戦術を一番理解しているのは宮本なんですが、宮本では1人でプレーしたら「弱い」の二文字ですね。(ウクライナ・ポーランド相手にあれでは、フランス、アルゼンチンレベル相手では何もできないでしょう。オールスターでエムボマにはコテンパンにされていましたしね。)森岡はまあ戦術も「そこそこ」できて、1人でも「そこそこ」ってところですね。
がしかし、一番はじめに上げたように、宮本がいるとチームとして精神的には良いわけです。精神的に引っ張れるってのはサッカーではとても重要です。ラインコントロールも森岡よりも正確ですし、90分間やり続けることができますし、相手が相手とはいえ、宮本の出た試合で失点が少ないのも魅力です。宮本が入れば、少なくとも「ラインを押し上げる意思」が働くわけです。ああみえて頑固者ですから(笑)森岡では残念ながら宮本ほどこれは期待できません。(シドニー五輪でアメリカにやられた試合は特に印象的ですね。)チームとしての約束事でも、ほんの1歩前にでれるかどうかで、オフサイドがとれるかどうかにかかってきますからね。宮本がいれば、チームとして安定するのは事実でしょうね。
さらに、失点シーンにおいては「ライン上が凸凹になる」という現象があります。これはミケロットさんやカインドさんの主張ですが、そういうものを作らないでおけば、失点が減るという考え方は一理あるかと思います。ラインで守りきるという強い意思ですね。
宮本は自分のプレーに自信を持ってるわけです。残念なのは、それを「サンドニ」で試せなかったことですね。試せさえすれば、「宮本はどうなのか?」ということがはっきりしたわけですから。
森岡はフランスと戦った結果「広さ」を意識するようになり、宮本は画面で見てそれを意識はしたものの、結局は未だそのタイミングをものにできてないわけです。
(あと、宮本の攻撃ですが、あれは、わざとやってるミケロットさんは主張していました。宮本がミスパスをした時は、実はそのスペースへでて欲しかったり、宮本の緩いパスは、パスがでているうちに顔を上げてまわりをみてダイレクトで蹴りなさいという情報を与えていたり。例えば、松田にロングフィードを経験させるためにわざと多めにパスをだしていたり。本当かどうかは、わかりませんが、全部が全部嘘でもなさそうな感じもします。まあ、私の目には「単なるミスパス」「いっぱいいっぱい」が多いという風に見えてます。)
トルシエは著作の中で、残念ながら、宮本は、私(トルシエ)の要求する「強さ」というものを実践してくれない旨の発言をしています。また、著作や、様々な発言、選手起用から察するに森岡のラインコントロールにとても「満足」しています。
と考えて、現状でどちらをとった方がいいのかなあということですが、私は戦術的なところと、精神的な部分で決めたいなと思っています。故に宮本ですね。ラインコントロールが、どこまで通じるのか、まさに「本番」で試して、今後の日本サッカーの将来につなげていきたいと思うわけです。ダメならダメでそこに気が付くわけですし。森岡は、ウクライナ戦と、ポーランド戦を経験していれば、間違いなくレギュラーだったのでしょうが、ちょっとそこのブランクが気になりますので。何気に、イタリア戦も、真中やっていませんし、ナイジェリア戦もでていませんでしたし。
しかし、ここに良いタレントがいれば、もっとすごいサッカーができるのですが、いないですもんね。ディフェンダーがミリノビッチ(スロベニア代表)なら、フォワードがチェヨンス(韓国代表)ならとついつい思ってしまいます(笑)精神的な部分も含めてです。チーム戦術は教えればある程度できますからね。
まあ、でも、肉体的、精神的に強く、トルシエの戦術を良く理解して戦う組織的なチームというのが、2002年の日本代表の姿かと思います。まさに「中田、稲本のチーム」の集大成になりますね。当運営部の意見でいえば、グラさんの代表よりも、スティングさんの代表ですね(笑)名波が復活すれば、よりグラさん的な要素が入ってきそうですが。
グラさんの期待する代表は、2002年以降になりそうですね。やはりそういうことができる選手が主力になってくる、2006年へ向けてということになりそうです。
目的の山までは車を使って高速道路でこれますが、山そのものは自分の足で時間をかけて一歩一歩登っていくしかないんですね。ヘリコプターで頂上までいける山もありますが、サッカーって山はそれができないようなので。
|
|