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さて、フラット3の守り方に対する興味はまだまだ尽きないように思います。
特にここ2、3戦は相手に少しばかり研究されて脆さを見せたことで、世間でもまだまだホットな話題であるように思います。
そこでノルウェイ戦の内要を受け、修正すべきポイントと手段を考えてみましょう。
まず、ノルウェイ戦の1点目。
「2列目からの飛び出し」でやられたものですね。
現在のライン守備に対する攻略のスタンダードです。
こういうセットプレイの失敗をなくすのは、別に難しい話ではないでしょう。
トラップを止めれば良い(笑)
しかし、それでもボールがこぼれてからラインを押し上げることは基本的にはせねばならず、それに対して前線の選手が付いてきて後方から飛び込む選手と入れ代わりフリーになるというケースは考えられます。
やはり流れの中での場合同様、なんらかの手段は持っておかねばなりませんね。
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ノルウェイ戦の1点目に関して「川口がフォローしていなかったのがいけない」という意見があると聞きました。
確かに川口が入ってくるボールへ素早く反応していれば防げたのかもしれません。
しかし、毎回毎回ラインを破られて川口の反応に頼らなくてはならないなんてバカな話があって良いわけはなく、川口にしたってラインを完全に破られているのにキーパーのせいにされてはたまったものではありませんね。
ぼくが川口なら間違いなくキレます(笑)
あれはやはり「バレている」のに気付かず、漫然とラインを上げた宮本の責任です。
そして「後方からの飛び込み」になんらのケアもなく対処の手段、その連係を持たなかった守備陣全体の責任です。
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2点目はサイドチェンジのボールを奪われカウンター気味にやられたもので、中沢は振り切られましたが2対1の数的不利な状況では仕方がなかったと言える。
後半30分で1点のビハインド、前がかりになっていた中でのうかつなパスとレシーヴ。
戻り切れなかった選手達。まあ、しょうがない失点です。
問題は3点目。
鈴木がボールを奪われ、ノルウェイは外に展開。
ひとつのミス。宮本はスールシャールの動きが目に入っていなかったのか。
あそこは行くべきではありません。
もうひとつのミス。
稲本はスールシャールを追うのを何故やめたのか。
前にもさんざん言っていたけれど、飛び出して行こうとする選手を自由に走らせては結果はいつも同じです。
戸田が外に引き出されたのなら、中のライン前は稲本がカバーせねばなりません。
宮本の判断は誤りと言えますが、稲本の「サボリ」も同罪です。
巷では、宮本のああした動き全部を「フォアチェック」などと総称して「やめるべき」という意見があるようですが、ここで何度も書いてきたようにぼくはそうは思いません。
局面で人数的に余裕がある時、組織的なバランスがしっかりと取れ、オートマティスムが生きている限りはどんどんやるべきだし、またやらねば強豪の速いサッカーには対応できません。
だからといってなんでもかんでも出ろというわけではないし、逆になんでもかんでも出るなという意見には大反対です。
いずれにせよ、出る場合には状況判断が大事だし、中盤選手のカバーリングの意識も重要です。
最も肝心なのは次に起こりうることへの予測であるし、それがなければ守備などできないのです。
そうした「読み」とは、根拠のないあやふやなものではありません。
全体の動きを的確に見極め、危機察知をする能力と素早い反応のことに他ならないのです。
そうした個人の能力なしに守り、戦うことなど、いかなる監督のいかなる戦術だろうとできるわけはないのです。
そうしたサッカーの「基本」を無私して、システムに頼ろうとかラインコントロールでなんとかしようとか、そんな「幻想」はとっとと捨て去るべき。
もちろん、宮本も含め代表選手達はそんなことは思ってもいないでしょうから、心配はしてませんが、そんな論調は唾棄すべきものとぼくは思います。
さて、2列目からの飛び込みに対してどう対処するか。
これも中盤、バックラインの選手達の「眼」がモノを言うと思います。
これを怖れてラインを上げるのを止め、後方にひとり余すような布陣を恒常化すればそれはそれでまた問題が出るし、このチームの根本を揺るがしてしまうことになり、それは非常に危険です。
パサーへのプレス、中盤選手のチェック、次のプレイへの予測としてのライン破棄、あるいは中盤選手のカバー。
やはり判断の速度が最大の問題ですね。
ノルウェイ戦で得た収穫。
明神はやはりすばらしいポジショニングをする。
彼が右サイドであれば、市川がそこをやるよりも遥かに中盤でのプレスはかかりやすくなります。
「オートマティスム」ははるかにスムースに実行されます。
戸田の戦術眼。
それはやはり間違いなくこのチームの心臓部にあたります。
ノルウェイ戦の後半開始から失点までの時間帯、日本チームは本来のバランスを取り戻していましたね。
彼等がベルギーとの緒戦にピッチに立っているのはほとんど間違いないように思えます。
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