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あけましておめでとうございます。
いつもFantasista・Japanを御覧になって頂いているみなさま、今年もどうお宜しくお願いいたします。
下の「右サイド」ツリーでの議論が3バックの話へと移行しましたので、こちらのツリーへ移させていただきます。
むろん、右サイドやその他の中盤の構成の問題と3バックスの守り方、レベルの問題は深くシンクロしているのですが。
あまり評判の良くない森岡ですが(笑)少し彼のやってきたことを考えてみましょう。
まず、日本代表はボールの動きによる細かなラインコントロールによって相手攻撃選手に「動きの規制」を加え、相手FWを時にラインの後ろへ置き去りにすることでゾーンをコンパクトに保ち、かつ動きの主導権を渡さないことで「主体的な守備」をしてきました。
いまでもそれが基本的な考え方でしょう。
例えば、こんな感じです。
相手がボールを保持しており、後方6番からMF10番に縦パスが入る。
3バックスは縦パスによって一度ラインを下げる。
FW9番はそれを見てDFの裏を狙うべく日本のDFラインの中へ。
相手MF10番がボールを受け、そこに戸田がプレス。
10番のフォローに上がってきた相手8番に10番がリターンパス。
日本3バックス、そのバックパスによってさっとラインを上げる。
相手9番、後方に置き去りにされたので急いで戻る。
同時進行で相手8番に稲本がプレスに行くが8番、ライン後方へ浮き球。
日本3バックス、ボールへの反応で下がる。
急いで戻っていた相手9番は日本のDFラインに対し動きの後手を踏み、オフサイド、あるいは3バックスが浮き球に対し下がる反応に体勢的にも遅れ、3バックスにボールをコントロールされる。
これがアジア・レベルでは多々見られたシーンです。
もっと低レベルのFWでは、バックパスに対する日本の3バックスのラインを上げる動きに反応できず、そのまま前に走り完全なるオフサイドを取られたりもしていました。
してやったり。ざまあみろ。ニヤニヤしながらそんなシーンを見ていたものです。
宮本がセンターのレギュラーをほぼ務めていた頃、そんなようなシーンをたくさん見た気がしますね。
「FWをマークしなくて大丈夫か」「オフサイドトラップの多用は危険」そんな声がマスコミ等に若干見られた気もしますが、「あれはオフサイドトラップじゃない」というまともな意見、あるいはそれを証明するようなDF選手のインタヴューもあったと思います。
そんなこんなでアジアカップに優勝し、2001年を迎える。
前年、ハッサンですでに日本と対戦していた世界チャンプのフランスは、日本のそんな守備を「頭脳的だった」と評しもしていましたが、つまりすでに知っていました。
そしてサンドニでの2回目の試合を迎えます。
そして、日本のそういった守備の特徴をよくわかっていたフランスFWアンリらは、日本の3バックスのそういったライン上下のタイミングを捉え、それに先んじ、再三森岡達と同時スタートを切り、そしてそのほとんどに勝利を収め、ラインの裏に抜け出しました。
先ほどのケースに例えればこんな感じです。
ビエラからジダンへ縦パス。ライン下がる。
ジダンに稲本が行く。フォローに上がったビエラにジダンからバックパス。ライン上がる。
バックパスでラインが上がることを知っているアンリは同時に下がる。
ビエラがラインとキーパーの間を狙ってフィード。
森岡とアンリ、同時にボールに向かってスタート。
スピードに勝るアンリが抜け出す。
帰国後、森岡は「必ずラインを上げていたのではやられる」主旨の発言。
バックパスに対し、2人は上がっても誰かひとりが残ったりするようになる。
2人の上がる動きで相手FWが下がれば、位置的なアドバンテージを少しでも得られるということですね。
相手FWが残っているのを見て下がろうとしなければもうひとりも上がる等の対応、そうした駆け引きの世界に突入です。
まあ、ある面で、それは経験によって得た知恵と言えないことはない。
さて、もちろん実際はもっと複合的です。
プレッシャーが掛かっているいない、上がる下がるのタイミング、そうしたことでオフサイドの網にかけられることもあるし、実際、コンフェデの決勝戦でも日本はフランスからいくつもオフサイドを取っています。
また、ラインを揃えていても次のボールに対してより反応を早くして行けば、個人の判断としての後方へのスタートをはやく、鋭くすれば、オフサイドラインを有効活用できるケースも増えるでしょう。
そして、日本だけではなくそれが例えフランスであっても、こういった「ライン守備」を破るのには「後方からの飛び込み」は常にとても効果的です。
フランスに対しても、やや後ろから素早くスペースを見つけそこに飛び出して行く森島が何度もそれでチャンスを作ったように。
後方から飛び出して行った稲本がしばしばフリーでシュートを放つように。
そしてコンフェデ決勝では後方から走り込んで来たビエラに結局決勝点を決められてしまったように(ぼくはこの松田のビエラの走り込みに対する反応を称えたい。ああいった視野を持つこと、反応をすることが大事。そして飛び出して行った川口の判断を間違いではない、と言いたい。二人とももう少し早ければもっと良かったけど、でもあれは素直にビエラの勝ち)。
こうしたことが「常識化」している以上からも個人の判断力と反応速度、そうしたことをいち早く見つける「眼」が重要だと思います。
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