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>中山「ひとつ言っておきたいのは、海外移籍に失敗なんてないということです。移籍を疑問視するような記事を見たことがありますが、そもそも言葉も環境もすべて違うところで順応するのは本当に大変なことだと思いますよ。当たり一つにしたって、パス一本だって、技術すべてにおいてスピードが増し、いっそう磨きをかけようと思ったら、並大抵の努力やトレーニングでは不可能なんです。そういう強さを身に付けること自体、失敗とか成功とかいうレベルの話ではないんです。伸二にしても稲本にしても、今持っているものをまったく違う環境の中でどれだけ発揮できるかなんで、失敗なんて絶対にない。試合に出られないと精神的にキツクなることもあるだろう。でも、そこで自信をもって踏ん張って、挑戦して何でもいいから得ればいい。」>
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><中山「(中略)ヒデは言うんですよ。もし海外でって思うんだったら、レベルとか云々は二の次で、外に出ることが先にありきだよ、ってね。スペイン、イングランド、イタリアが移籍先のすべてじゃない、どこにだってあるだろう。スイスもあるしオーストリアもある。でも、そういうところからはじめて挑戦しなければ上に這い上がっていけないんだってね。」>
そうですよね。さすが中田です。そして、その言葉をすぐに理解する中山も、さすがです。この二人、とくに中山は本当に日本の誇る知性だと思います(中田に関してはヤフーであえて批判させていただきましたけど)。カインドさんの、中山のおちゃらけキャラは知性を隠すためにやっている、というのは、まさに同意です。というよりも、あのおちゃらけ自体も、かなり知的です。勘がいい。彼の「身体」をまったく無視した泥臭いプレイも、おそらくは自分のテクニックを勘案してはじき出された知的選択による部分が大きいと、いつも思ってしまいます。彼は海外で通用するし、とくに海外に出なくても、普通のプレイヤーが海外に出て初めて掴んでくるものを、もうほとんどもっているといってもいいくらい。
「外」に出ることって、それ自体でもうすごいことですよね。それって、まさにトルシエ自身がそうだったと思うんですね。フランスを出て、アフリカ諸国からアジアへ。まさに、自分の今までの慣習が全然通用しない国々に、あえて出て行っているわけです。暗闇の中で、命がけでジャンプしているわけです。着地できる地面があるかどうかなんて、考えないで飛んでいる(ちなみにマルクスは「命がけの跳躍」なんてことを言ってますが、これのことです:笑)。だから、今年の日本代表の海外遠征も、負けようが勝とうが、それ自体が意味のあることだったわけです。トルシエは知っているわけです。いくらアジアでチャンピオンになろうが、それは「中」にいるにすぎない。「外」に出ないと、「中」での業績も何の意味もなさないわけですね。コンフェデやキリンカップの好結果って、再確認になりますけど、外に出ることの意義を身をもって知っている監督トルシエの欧州遠征があったからこそだと思いますね(ぼくはトルシエのこの部分に、ベンゲルを超える素地をみています)。
冬の欧州遠征もいまから本当に楽しみですね。
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