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「トルシエ革命」、読み終わりました。
いろいろと興味深い所、共感する点、「やっぱそうでしょ」と嬉しくなる点などがありました。
興味深かった点としては、hjro://さんへのレスにも書いたのですが、小野とリーダーに関する点。
最近、マスコミに対して記者会見などで、キャプテンについてまたも緊張を走らせていたようですが、トルシエもやはりリーダーは求めている。
シドニーでは中田ヒデにそれを期待し、それは目論み外れだったようですが、それは「私が中田をまだ理解していなかったから」で
「それは中田の責任ではなく、彼には彼のスタイルと哲学があり、彼のやり方でチームに貢献している」のであり、
「私にとって良い経験になった」そうです。
今はまだでも、A代表でも小野のリーダーシップを期待しているのかもしれませんね。
ちなみに同じくリーダーシッップがあるとトルシエが考えているカズに対しては、
「現在、カズは代表から外れている。私は彼が私のアシスタントとして、今すぐにでもベンチに座ってほしいと思っている。
〜選手と私の間のコミュニケーションを取り持つパイプ役には、彼以上にふさわしい人間はいない。そういう形で彼の経験とプロフェッショナリズムを
若い選手に伝えて欲しいし、ワールドカップに参加して欲しい。だがカズ本人は現役にこだわっている。〜〜これが最後のチャンスなのだから、
おいそれとはあきらめられないだろう。私が考えを変えて、再び召集する日がくるように、日々のプレーを積み重ねているのだろう。
これが本物のプロでなくて何だろうか。私は彼が私の要請を受けることを今も願っているが、強い信念をもってプレーを続けるカズには心から敬意を表する」
と言っています。
共感した点は、彼のチームに対する捉え方についての部分。
ちょっと前に、ぼくはメジャーリーグ、シアトルマリナーズの監督、ルー・ピネラのセリフをここに書きました。
「監督の仕事で、一番重要な部分はフィールドにはない。クラブハウスにある」です。
同じことをトルシエも書いています。
「サッカーの進歩は、ピッチの上よりもピッチの外に数多くある」と。
「サッカーは成熟した大人のスポーツである」「技術だけでなく、サッカーでは人間性も重要だ」も、ともにとても共感します。
クライフ・バルサが好きだ、というのも共感します。
うれしく思ったのは、フランス、スペイン戦の後でも、哲学もコンセプトも変えていない、とはっきり本人が語っていること。
いつ書いたのかはわかりませんが、「序章」の部分を読めば、あれも折り込みずみであったことが伺われます。
「フランスやスペイン、イタリア、ドイツ、ブラジルといった国々相手に3点取られても4点取りかえすようなサッカーができるとは思わない。
今年はそうした強豪国との対戦ばかりで、ほとんどの相手にボールを支配されるだろう。当然ディフェンスの比重は高まるし、
選手の起用もこれまでよりも守備力重視になるかもしれない。しかし、だからと言ってチームのコンセプトまで変える気は私にはない」
と書いています。もしかすると、フランス戦の大敗、スペイン戦も台本通りだったのではないか、と勘ぐってしまいそうです(笑)
「終章」では、「スペイン戦はディフェンスには合格点を与えられる。だがサッカーはディフェンスだけではない。
ディフェンスとオフェンスは表裏一体である。どちらかを切り離して考えることはできない。守備一辺倒の戦いから、世界のトップ5を相手にしても
どれだけ攻撃を構築して行けるか。今はブラジルやフランスに対して中村や本山を起用することはできない。
しかしあと1年のうちにそれが可能になるのかどうか。ワールドカップに向けて戦術的に最も重要なテーマはそこにある」と書かれています。
やはり思った通り、感じていた通りでした。「どんな相手に対しても、イニシアティヴを取り、自分達のサッカーする」というコンセプトに変化はない。
今はただ、それに向かっての準備中ということなのでしょう。
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