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daiさんは、現代サッカーは画一化方向にある、と言いました。
zukunashiさんは、フォーメーション論の無意味さを理解しながらも、選手の個性は均一化されるものではないだろう、と言いました。
>監督がどのようなゲーム戦略の基に、どのような個性を持つ選手を、どのようにバランスさせポジショニングするかと言う事は、ゲームにおいて非常に大きな要素ではないかと思っています。
ということは真理でしょう。
では、daiさんが間違っているかと言えばそうではないでしょう。
なぜなら、求められる選手の能力が単一的なものではなくなっているのも(以前よりも戦術的にも必然として、という意味において)事実でしょうから。
ぼくが問いたいのは、高次元でバランスした総合力のある選手、というのは皆同じか、ということです。
言葉の上では同じ総合力のある選手でも、その能力の表れ方、各能力の使い方、個々のプレイの選択判断は同じなのか、ということです。
例えば、小野という選手がいます。
フェイエノールトで、中盤をまかされています。
同じく中盤にキャプテンのボスフェルトという選手がいて、彼が前へ出て行くことも多いためにバランスを考えて守備にも頑張っています。
あるいは、前へ出てフィニッシャーになることもよくやっています。
で、このまま小野がそうやって守備技術もフィニッシュも高い次元に至ったとしましょう。
例えば、稲本という選手がいます。
アーセナルで、中盤をやっています。
世界でも有数のプレイスピードを持つプレミアシップの中の強豪チームです。
そこで彼も、プレイのはやさと広さを身に付けてきています。
もうまん中でデンと構えてボールを奪い、上がって行くアウトサイドにパスを撒くだけの彼ではいられなくなったのです。
そうして稲本がそうやって自分が起点になるだけでなく「使われる側」としても攻撃能力も高めていったとしましょう。
で、小野と稲本は「似たような選手」になりますか?
「画一的な選手」に?
例えばアウトサイドで起用される時、小野には小野の、稲本には稲本の、アウトサイドとしての機能の仕方がある、とぼくは思います。
アウトサイドはこうでなくては、ボランチとはこうでなくちゃ、と「画一的」にポジションを捉えることをこそ止めねばならない、とぼくは思うのです。
そして、いかなるチーム構成の中でいかなる配置であっても個性を発揮できるだけの強さと頭脳を持って欲しいと思うのです。
もちろん、能力がどちらかと言えば守備に振れている、とか攻撃に振れている、ということはあって然るべきでしょう。
しかし、「守備だけ」「攻撃だけ」、もっと言えば「足が速くてドリブルがうまいだけ」とか「体が強くてヘディングが強いだけ」の低レベルの選手はもういらないのです。
デフォルトのフォーメーション。
組み合わせのバランスを戦略にのっとって考える時、主な役割分担としての「それ」は必要不可欠でしょう。
しかし、それは「形」ではない。
図面はあくまでもそれをわかりやすく明示するためだけのものであって、実戦的な意味はそのほとんどが失われています。現代では。
お二人とも、それをわかった上で、言葉の上で行き違っていると思います。
ぼくはただ、「実戦的な意味ほとんど失われているのだから、数がどうこうとか形がどうこうで有利だ不利だ言うのはバカバカしい」と言いたかっただけです。
「サッカー批評」を読みました。
木村和司のインタヴューや武智さんのコラムは楽しかったんですが、がっかりしたものもありました。
まだまだこの国のジャーナリズムはクライフの発言の真意すら読み取れないのだ、と脱力しました。(まあこの永井氏だけかもしれませんが)
ぼくはこの雑誌、けっこう好きなんですけどねえ・・・
「我々凡人とは次元が違う」などと言ってクライフの言う「技術」に真に含まれる意味を解さないようではクライフの言葉を引用する意味は損なわれている。
レベルが高くなればなるほど、「均一化」などと言うこととは離れて行くのです、本来的に。
ぼくはいつの時代にあってもファンタジスタは生まれ続けている、という武智さんの意見に賛同します。
「今はいろいろ見れるじゃない。これだけいろいろ見れると『自分だったらどうしようか』ってすごく頭の中で創造力を働かせられる。だから小学校3年生でもドキッとさせられる選手なんてたくさんいるよ。だからこれから楽しみだよね」という木村和司の言葉に首肯します。
世界のサッカー界がチームの「強さ」を合理的に求めて行けば行くほど、選手の巧さは確実で成功率の高いそれとなり、不確定な「何か」は失われて行くだろう、という永井氏の言葉は、ぼくには「チームの強さ」ということが何かをわかっていないとしか思えない。
人間がやる「サッカー」をナメているとしか思えない。
ナイキのCMが現代サッカーに対する皮肉、だなんて浅はかな意見にはとうてい賛成できないのです。
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