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ナンバーの記事、ぼくも読みました。
杉山氏の主張は、ある意味では正しく、ある意味ではとても間違っていると思います。
まず、ワイドオープンに攻める意識が必要なのは言うまでもありません。
そして、左右に揺さぶることが得点の確率を上げます。
絶対的な数字上の優位よりも、細かな局面での優位が重要だからでもあります。
しかし。
サイドのアタックがないことを、3ー4ー1ー2だからと決めつけるのは早計にすぎる。
そもそも、3ー4ー1ー2って何?と言うのがぼくの感じ方です。
例えば中村と伊東は常に稲本と明神の横に位置しているのか。
ユースでの本山は、「ウィング・ハーフ」との分類を許すような選手だったのか。
本山はいつも個人で縦に抜いてサイドをやぶっていたわけではありません。
小野や小笠原とのポジション・チェンジ、トップを含め人を生かしながらサイドも破って行くことで彼の存在は脅威になった。
3ー4ー1ー2とか、4ー2ー3ー1とか、そんな数字は流れの中で、相手との力関係の中で、試合の趨勢の中で、いくらでも変わる。
「なんであんたが勝手に選手のポジショニングを決めてるんだ?」という感想を持ちますね。
そもそもフランス戦の日本の布陣は、スタートの時点でさえ3ー4ー1ー2などではない。
今日(対カナダ戦)の小野を見てもわかる通り、ある場合によってはサイドハーフが自分で突破を仕掛けるよりも、味方を使って崩した方が高効率で
速い時も多い。(もちろん小野にしろ中村にしろ、自分がアタッカーになることもなければ本当の脅威にはなりませんが)
そして、小野の攻撃力を(サイドハーフの攻撃力を)どこまで生かせるのかは、単なる数字の問題などでは結してなく、
それは味方の例えばボランチと呼ばれる選手のカヴァーリングの速さであったり、戦術眼であったり、3バックのサイドの選手とのやり方であったり、
そこの所の意思疎通であったり、相手との力関係であったり、様々な要素が絡んできます。
トルシエは、ホワイトボードに中村の名前を書く時、まるでFWのような位置に書くと言います。
それは「チームとして、中村をなるべく高い位置でプレイさせるように」という指示でもあるわけです。
「相手がサイドを突いてきた時、ウィング・ハーフは後退を余儀なくされる。その時に守備力の低い中村のサイドは特に危険にさらされる」
と杉山氏は書いています。
それは本当でしょうか?
それはウソです。
中村が下がらなくとも守れる方法など、100でも考えつきます、ぼくには。
中村は『自分から』下がっていただけです。精神的にも押し込まれたからです。
だからフランス戦では代えられた。フランスの攻撃力に圧倒され、「これは攻めるどころじゃない」と判断したから下がって「しまった」のです。
中村が誰と代えられたのか。三浦です。もしもトルシエさえも「これは攻めるどころじゃない」と判断したのなら、バックと代えて服部を中村の位置でもよかった。
「なんとか高い位置でボールをキープして欲しい」から三浦を入れたわけです。
フランス戦のあの選手構成は、3ー3ー3ー1にもなるし、3ー5ー1ー1にもなるし、3ー1ー4ー1ー1にもなるし、5ー3ー1ー1にも、
4ー4ー1ー1でも何にでもなります。それはすべてやり方次第、状況次第。それがサッカーってもんです。
あのフォーメーションを3ー4ー1ー2と決めつけている所がすでにわかってない証拠。
サッカー選手は将棋のコマではない。個性はあれど、持ち味はあれど、決まった動きしかできないわけではない。
「それしかできない」選手(要は脳ミソのない選手)など、代表レベルにない。
そして、例え将棋のコマで例えても、サイド攻撃を香車に頼らねばならないなんて法はどこにもない。
飛車を使おうが銀を使おうが金でも角でも、なんでもいい。肝心なのは「素早く崩す」ことなのだから。
欧州で流行っているから、日本にも合いそうだから、4ー2ー3ー1にして欲しい。
そんな頭ではいつまでたっても欧州には追いつけない。
ミーハーなおっちょこちょい、という感じは拭えないですね。
最後に我が大将、レッズの福田の言葉をもう一度。
「試合に負けると、必ず3−5−2の方が良かった、4−4−2が良かったと文句を言ってる奴がいる。でもそんなの当たり前なんです。
システムにはそれぞれ長短があって、良い方が出ることもあれば悪い面が出ることもある。こういうことを言う頭の悪いガキが大人にならないと、
ウチのチームは強くならないんです」
まったくもって正しいと思います。昔から大好きだけど、やっぱわかってるわ。
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