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▼GAITIさん:
レスありがとうございます。おっしゃりたかったこと、よくわかりました。
その上で。
>まあ、これは多かれ少なかれポジションチェンジを多用するチームはどこも利用しますけどね。
ぼくとGAITIさんの認識が少々違っていると思われるのはこういう所でしょうね。
ポジションチェンジは、しようと思ってやる場合(主に攻撃面)しなければ間に合わない場合(主に守備面)があります。
サッカー自体のレベルが上がれば上がる程、ポジションチェンジは「せねば間に合わない」ものなのです。
例えば。
左サイドで小野が攻撃に出ています。相手にボールを奪われた。
左のスペースを使う。稲本がそこにプレッシャーをかけに行く。バックパス。
戸田がそこへプレス。縦パス。中央へ下がった小野がプレッシャーへ。
という具合に入れ代わらなくてはスムースで速いプレスはかけられない。
上記のプレーをすべてダイレクトか1タッチで行うようなチーム相手には特にそうです。
そして、ぼくが言う「プレス」とは、「パスを受ける瞬間」にかかってなくてはならないものです。
そういう「速いチーム」に対し、最低でも相手のアングルを狭め、時間を稼ぎ、好き放題に回されないためにはそれしかあり得ません。
そして、そういう「プレス」をかけるためには、「最初のスタート位置」など、何の意味も為さないのです。
その後。
小野がボールを奪った。左の稲本へ。稲本は中央の戸田へ。戸田から柳沢へスルーパス。
戸田のスルーパスは相手DFがカット。
この場合、小野はDHの位置、稲本は左アウトサイド、戸田はトップ下、です。
彼等はそこで攻撃し、そしてそのまま守備に入らねばなりません。
相手に「ちょっと待った、今それぞれのポジションに戻るから」とは言えません。
「流動的なサッカー」は、スピードアップされた攻守の切り替えの中では、必然なのです。
もう、いくら最初のフォーメーションをバランスを緻密に取っても、それで固定的なサッカーをしていて通用する時代ではないのです。
そして、世界の潮流はどんどんとそういうスピード・サッカーへと流れています。
先日の南米予選、ブラジル対アルゼンチンを御覧になりましたか?
アルゼンチンのスピードにブラジルは手も足も出ませんでした。
ボールを受けるか受けないかのタイミングで激しく為されるプレスとインターセプトの嵐。
次から次へとスペースへ動き、そこで素早く繋がれるダイレクト・パス。
唯一、アクセントとなりうるスピード豊かなドリブル。
世界のトップは、フィジカル重視のサッカーからスピードがすべての世界へ移行してきています。
そういう中では、
>左サイドの選手が中にきてたら今左サイドが開いてるんだな、とチームみんながわかります。
というようなテンポではスローすぎるのです。
サイドが中に入るのと同時に、あたかも無意識のごとくカヴァーリングは為されなければなりません。
「あいつ行ったな、えっと、俺が一番近いな、じゃあ俺がカヴァーに行こう」などと考えているヒマはないのです。
ポジションを移動するもそれをカヴァーするも一瞬の共通理解のもと、同時に瞬時になされなければならないのです。
そしてそれを可能にするのが「オートマティスム」と「高いチームの完成度」です。
「ゾーンバランスを常にとり、選手間の距離を緊密に保つこと」。
それが掟。
それと、野球人さんもおしゃっていますが、日本人のフィジカルをはなから弱いと決めつけるのは早計だと思います。
相手と当たる時に、吹っ飛ばされるか吹っ飛ばすかは、身体の大きさや筋力よりもタイミングと体勢が大きな要素でもあります。
コンフェデ杯で、小野がカメルーンのウォメを吹っ飛ばしたシーンを覚えているでしょうか?
あれをして「小野は当たりに強くなった」と評するマスコミやファンは大勢いましたが、あれはそうではなく小野が抜群のタイミングと充分な体勢をもって当ったからです。
セリエの中では小さな中田ヒデが競り勝てるのもそうしたことの方が全然大きい。
大きな身体と優れた筋力が有利なのは言うまでもないですが、「当る」のもひとつの技術であるという側面は忘れてはなりません。
そしてまた小さく俊敏な身体はそれもまたひとつの武器足り得るということも忘れてはなりません。
スポーツ選手にとって重要なのは筋力のバランスなのです。
もうひとつ。
>強豪相手にバランスよく戦ったことはほとんどありません。
確かに。
慣れない組み合わせ/構成で個々の役割が不明瞭なままな事が多かったですね。
しかしながら、バランスが失われたのは、そういった自分達の問題だけではありません。
サンドニの構成でも相手がもっと弱いチーム、例えばタイならば、十二分に機能しうるでしょう。
伊東や名波、稲本が交互に上下し、前へ顔を出し、中で外で組み立て、支配する中で、個々の役割分担を状況によって作り上げて行くでしょう。
慣れないコンディション、整わない体調、対して絶好調のフランス相手では、個々のそしてチーム全体のスピードに差が出て当然です。
遅れてプレスに行く、もうボールは出されている、あるいは遅いから相手に充分な体勢を取られて簡単にかわされる。
そうしてひとつもボールが取れないのでは、バランスなど崩れて行くのが当たり前です。
たまに攻撃しても、判断も動きだしも遅いからすべての動きを相手にみきられ、ボールは簡単に奪われて行く。
なおかつフランスは世界最高のプレイスピードを持つチーム。
対してこちらはひさしぶりの代表戦、Jの遅いサッカーに日常的に染まり、プラス時差ボケで動かない身体。
慣れない柔らかい芝は雨でいっそうすべりやすくなり、足を取られ、ますます動きのキレを奪って行く。
あれは「論理的」な結果です。
どんなフォーメーションで挑んでいようと結果にそう差はなかったでしょう。
フォーメーションは、誰と誰と誰を組み合わせるのか、どんな選手構成で、どういう戦い方を目指すのか、ということ「だけ」であり、数字や形で考えても何も意味を為しません。
それはおわかりだとは思いますけれど。
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