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▼seriさん:
>いきなりですが出入り禁止覚悟で正直に書き込みます。
御心配なく。
ぼくは、自分の眼で見ての意見はある面から見れば常に正しい、と思っています。
食い違うのは、見方の角度、指向、深度、求めるレベル、ディテール等によるもので、どれほど違おうと客観的にすべて誤りだと断定するつもりはないので、先にそれをことわっておきます。
その上で、遠すぎるが故にぼくはぼくの見方からあなたの意見を完全否定もし、言葉もキツくなることになるでしょうが、なにぶんにもお怒りにならぬよう。
それはあくまでもぼくの見方であり、意見というだけのことなのですから。
「そういう見方もあるんだな」あるいは「それはもしかしたらそうかもな」「でもこれは絶対違うな」等と考えてもらえれば幸いです。
まず、
>自分はどういう位置でどういう役割を持って行っているかがすごく大事だと思います。
位置も役割でさえも変化するのがサッカーです。
では「ボランチ」と「ミッドフィールダー」の違いとは?
>ボランチなんて一般的には中盤の底にいそうな人くらいな認識ですけど。
その認識がすでに誤り。
押し込まれれば、ボランチでなくとも中盤の底にいなければならないケースなどいくらでもある。
攻め込んでいればボランチでもトップ下の位置に入らねばならないケースなどいくらでもある。
トップ下まで行かずとも1stプレスとボール奪取にかけるエリアは試合の流れで変わり、プレス&フォロー、カバーの役割も常に入れ代わる。
ボールを奪えばパサーになり、パスを出せば今度はレシーバーにもなりうる。
スペースがどこにあるかによってまたプレイエリアもずれて行き、瞬時に攻守が変われば「自分の初動のポジショニング」など何の意味もなさない。
まさか、敵に「ちょっと待って、今自分のポジションに戻るから」とでも言いますか?
現代はどんどんとサッカースピードが上がっている時代。
「ボランチ」だの「オフェンスハーフ」だの、明確にわけられた昔とは違う。
眠気を誘う蝿がたかるがごときJリーグのスピードを「レベルが高い」などと言うのは眼が時代遅れにすぎる。
だから「ポジション」を固定的に捉えているし、サッカーを固定的に捉えることになっている。
サッカースピードが上がれば、ボールに対するゾーンの移動・収縮、プレッシングと攻守切り替えから「自分はこの位置担当」などと言っていられないのです。
試合の趨勢によってプレイエリアは変わり、果たすべき役割も変化して行くもの。
そして戦いのステージが上がり、サッカー自体のスピードが上がればおのずとポジションを入れ替える時間も増える。
個人の特徴、長所等からチーム内で主に求められる役割はありますが、状況の中での役割の交代は頻繁に行われるし、それがスムースかつスピーディに行えないチームは完成度が低い弱いチームです。
「ダブルボランチ」だから中盤の底に2人で並んで相手が来るのを待っているわけではないし、ボールがある時ならつなぎ役にも受け手にもカバーリングにも状況に応じて動かねばならないし、ない時なら1stプレッシャーにもカバーにもどこであろうとスペースマークにも状況に応じて動かねばならないのが現代の中盤。
ボランチであろうとバランサーであろうと、それができない選手はぼくに言わせれば「下手くそ」であり、ボランチだのバランサーだのといった名称は選手の特徴を指すのに使えはしろ、位置を指すことになど使えはしません。
日本で言われている「ボランチ」は、おっしゃるように「中盤の底にいそうな人」で、そこで守備に力を割く人。
その意味でも稲本はもう違う。
戸田・稲本と中盤に起用されれば、戸田が主に1stプレッシャー係になり、稲本はそのフォローや奪ったボールを受け捌きあるいはそこからボールがサイドに出たならそこへも攻撃でのフォローに動く。
一般的に言われている「ボランチ」はそこまでは意味していませんね。
ちょっと前までは稲本はその意味での「ボランチ」でした。
中盤の下がり目の真ん中にデンと構え、そこに来た相手にタックルし奪い、あるいは周囲がボールを奪ったならそれを受けて散らす、といった「だけ」のイメージ。
そしてチャンスがあればダーっと「オーバーラップ」し、ゴールを狙う。
そんな「ボランチ」はもう10年前の「ボランチ」です。
そんな選手はもう全然通用しません。
だからボランチなんて言うのはやめろと言う。カビがはえて悪臭が漂う。言葉本来の意味から遠くなりすぎている。
そういうイメージを持っていた稲本がどうなったか。
次々とスペースを作り、ポジションを入れ替え、ダイレクトや1タッチで繋ぐ相手にどうなったか。
自分の傍をシュンシュンと通過して行く相手やパスを横目に中央で何もできずクルクルと回っていただけです。
だからぼくは稲本を批判し続けた。
しかし、稲本の頭はもう変わりました。彼の頭は「ミッドフィールダー」になりました。
スペインの地で見たグアルディオラとアーセナルでの経験よって。
あるいは彼は「それが今のボランチ」と思っているのかもしれませんが(笑)、それが目指す所は名波のやっていることとなんら変わりはしません。
まだまだ足りませんが、彼はそういう方向を向いている。
そして、稲本であろうが名波であろうが戸田であろうが、そういった多岐に渡る中盤選手の役割を分担し互いに使い使われ、役割を瞬時に入れ替えプレイエリアを必要に応じて瞬時に入れ替え、プレスしフォローしカバーし起点になりボールを動かし人を動かし突破し突破させ、といったことがスピーディにできるチームにならねばならないのです。
言葉にすると何かまるで理想論のようですが、こんなことは一流の強豪チームは当然のようにやっていること。
かなり長くなりました。
いったん切ります。
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