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トルシエのフラット3が日本代表で本当の意味で姿をあらわしたのは
宮本が統率した時のみかもしれません。
トルシエのフラットな3バックによるラインディフェンスであるフラット3は
極端な話、DFの対人能力をほとんど期待していません
(まあ、あってもいいけどという”おまけ”扱いです)
どちらかというと、要求される能力はフィードなどDFラインからのビルドアップ能力という感じです。
よって、井原、秋田といった既存のA代表の選手には全くといっていいほどなじみませんでした。
おかけで当時、めちゃくちゃ批判されましたが、この戦術は日本代表に向いていると思います。
秋田、中西が、バティとクラウディオ・ロペスをまがりなりにも抑えたといっても
チーム全員がディフェンダーを助けた結果です。
本来なら対人能力がウリのこの2人もってして、チーム全員の協力でやっと試合になったという感じです。
(おかけで、攻撃にまでは手が回りませんでした)
岡田監督も日本のサッカー関係者、そしてサッカーファンも現状で日本人による対人能力によるDF方法には限界を感じました。
対策として考えられることは
1.ディフェンダーの能力自体を上げる
2.対人能力によらないディフェンス方法を取る
の2つです。
1は、ディフェンダーの対人能力は強力なFWによって磨かれる部分もありますから、現状で海外に移籍するなどのほかに劇的に有効な方法はないでしょう。
そういった意味でも、ディフェンダーの対人能力を補う形のフラット3は論理的な方法であると思います。
長々とまた前提条件を書いてしまいましたが、本題に入ります
簡単に言うと
「宮本は本当にラインディフェンスをやっているが、森岡の方は、もはやラインディフェンスをやっていない」
といこうことです。
本当は、具体例を出したいのですが
ラインコントロールの緻密さ、ライン維持の時間、ラインの高さ
どれをとっても違いは歴然としています。
なにより、波戸をいれて4バック気味に、戸田をライン前の番犬としていることそれ自体の理由が、森岡のDF方法がラインディフェンスになっていないことの証明です。
森岡のラインコントロールやブレイク?の早さを見ると、もはやヨーロッパで普通に行われている3バックによるゾーンディフェンスとほぼ変わらないところまで来ています。
確かにこれで良いという意見もあると思います
トルシエのフラット3のエッセンスを学ぶことによって、ヨーロッパのスタンダードに近づいたということも出来ます。
(実際、かつての日本代表に比べればかなり良くなりましたし、森岡自身ははフラット3をしているつもりかもしれません)
しかし、これではディフェンダーの対人能力なども高い次元が要求されます。
はっきりいって、こうなった時点で日本人レヴェルの3バックが破綻することは目に見えています。
(左の中田などフラット3要員の選手も残している非常にアンバランスな状態ですし)
森岡のディフェンス方法だからこそ、波戸を入れて4バックに、戸田を入れてライン前のプレッシングの強化をするなどの戦術的補正をしなければならなくなってきています。
(私には、この状況は本意ではありません)
そして、森岡仕様のこの布陣の影響は宮本のラインにも影響を与えています。
まず、波戸、戸田を入れた時点でチーム内の約束事がかなり変わっていることは間違いないと思います。
(具体的に言えば、ラインディフェンスのそれではなくなってきている可能性もあります)
宮本を入れたときもこの布陣が継承されることによって
ナイジェリア、イタリア戦を見ても、かつて程の極端なほどのラインコントロールは見られなくなってきているように思います。
もちろんそのような極端なラインコントロールは、世界的に見ても亜流なので「バランスが取れてきた」といえるかもしれませんが、本気の世界の強豪と戦うためには、宮本のような極端なラインディフェンスが絶対必要になってきます。
ラインディフェンスは宮本のように思い切り良く(かつ繊細に)やれば、危なそうに見えても案外失点しないものです、全てがリンクする完成された理論を持つラインディフェンスにおいては中途半端が1番危ないです。
(完成された理論であればあるほど、1ヶ所破綻すると、全体が破綻してしまう危険があるので、ピッチ上の選手についても全員ラインディフェンス仕様にするべきです、もしラインディフェンスをやるならですけど)
敢えて、1面的に書きますが、フラット3ではある程度、3バックのラインコントロールだけで守れる部分があります。フランスWカップのように守備のために人数と力を使い切るようなことはありません。
力が残った状態で、いやむしろラインによってより通常よりスタミナ消費が抑えられた状態で日本の攻撃が何処まで通用するか
なにより革新的戦術であるフラット3を駆使してWカップで戦う日本代表が見たです。そして、それは世界を驚かす可能性を十分に秘めているとも思っています。
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