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▼ロバさん:
>グライダーさんの言われる第二段階。
>僕はこれもまだ卒業できたとは思っていません。
アジアカップで、アジアレベルでは「ほぼできた」。
というよりも「何たるかがわかった」。
それが第二段階で、このシステムの基本が「主体的にディフェンスするために」あるということを理解し、それをある程度まで実践できたのがアジアカップまでの代表。
ぼくは思うんですが、森岡はトルシエに逆らってましたね、あの前までは。
森岡はアルディレスへの信頼が厚かったろうし、そのアルディレスはフラット3に批判的だったしね。
でも、紆余曲折あって、代表では代表のやり方をせねば試合には出られないとか、トルシエ式でもきちんとやれば守れるんだ、とか、そういったことで森岡はトルシエ式への理解を深めた。
ベンチで宮本の動きを見たり、宮本と話をしたりということがあった、というのも聞いた気がします。
宮本、森岡、松田、中田、服部、とかそのへんのDF陣は、代表合宿や試合前に集まった時、じっくり話をしているだろうと思うんですよ、当然。
だから、ぼくは森岡と宮本の戦術理解度に差があるとは「もう」思いません。
そして、ロバさんのおっしゃる「まだやれること」をせねばならなくなったのがサンドニ以降とぼくは捉えています。
基本は「主体的に守ること」。基本的な約束事を守ることが大事なのではなく、いかに主体的に守るか、が重要です。
それがこのシステムの持つ意味です。
そしてアジアの国々よりも高いレベルの相手、いわゆる「世界の強豪」と呼ばれる相手と相対した時に、約束事だけではどうしようもなかった。
そんなの当たり前の話です。
ラインDFひとつとっても、ボールが下がればラインを上げる、ボールが縦方向に入ってくればラインを下げる、そんなのちょっと気の効いた相手なら気がつくはず。
特にフランスはハッサンで日本に引き分けに持ち込まれ、ホームでまた同じ失態を見せられないから、日本を少しばかり研究した。
日本のDFのやり方を知っていた。
で、ラインの動きにきっちりと遅れずについてくる。だから並ばれて走りっこになる。
中盤の高い位置でプレスをかけ、そこで奪い、ポゼッションを得るのが理想でも、こちらのゾーン移動よりも相手のスペースメイクとそこへの走り込みが速ければプレスなんかかかりませんよね。
だからコンビネーションプレイを多用し、速いボール回しをして時間差をつくり出し(立体的なプレイ!)、日本のプレスがかからないようにした。
そして何度も言ってますが、一流選手は直径2m四方の自由が一瞬あればそれはもうフリーです。
日本の守備陣の判断と動きだしの速度、そして詰めるタイミング、詰める距離では、プレスはかからずボールはまったくのところ奪えなかった。
すべてが後手後手になった中で、迷うも何もなかったと思います。
迷わなくたって、同じこと。
工夫しなければ、もう通用しないのに決まりごとを繰り返したってダメです。
相手はきっちりとラインの動きについてくる。
でも、「決まりごと」だからボールに合わせて3人揃ってラインを上げる。
並ばれる。プレス効いてないからタイミングを計られて正確にパスを出される。
走り負け、抜け出される。
それをずっとくり返せと?
あの試合後、森岡のみならずDF陣は自分達でもそうとう考えたはず。
そうして数試合の過程を踏み、今のやり方にマイナーチェンジした。それは宮本も当然すでに了解事項であり、ここ2戦を見てもそれはもう明確です。
中盤のプレスがかかっていない時、最終ラインで人が余っていればライン前に入ってくる相手にとっての「おいしいパス」はバックスで潰す。
サイドを下げられればスペイン戦のような戦いになってしまうから、オンサイドのラインの外はできるだけバックスが行く。
飛び込んでこようとする相手がいる時や、プレスがかかっていない時にラインに並ばれた場合は状況によっては一人後方に余す。
それで良いです。何も間違ってません。そうせねばならないんです。
(ひとつ例を上げましょうか。ウクライナ戦の前半33分45秒からのシーンです。
ウクライナにボールを回されています。ラインは基本通りボールに合わせて上げ下げしています。シシュチェンコとズボフがラインイン。最終的にボールはズボフに出、宮本はシシュチェンコを見ていた半身の体勢から振り返るが、危険な状態。もしもここでズボフが前へ良いトラップをしたら・・・大ピンチです。
と思ったら松田がラインを崩して後方に余っていた。これは3人の共通理解のもと、やっていること。
この試合のその後でも中田浩二が同じようにやっています)
ただし、そうしたことの判断、一歩目の速度、それをさらに上げないと強豪にはやっぱり通じない、とぼくは思ってます。
前へ出るのも、「人が余っている」のは相手の形とかこちらの人数だけではなく、局面の局所的な状況の中では、大雑把な場面的には例え相手と同数でも「余っている」ことなんかいくらでもあります。
そうした瞬時の判断をしその事後処理をして行かないと、強豪相手に中盤の主導権争いを互角に戦うなんてできるわけないんです。
そうしてプレスを正しいタイミングでかけ、なおかつボールを奪えないと、試合にはなりません、結局。
究極的に言えば、オフサイドを取るよりもラインの前でボールを奪い、ただちに素早く攻撃した方が得点になるのです。
基本的なことを言います。
ボールを相手から奪い取ることができなくてはサッカーにはならない。
そして、奪うのは少しでも高い位置が望ましい。
ならば。
ボールを奪うにあたって、一番確率が高いのはいつでしょう?
最高なのはもちろんインターセプトすることですが、インターセプトやパスカットはそう毎度望むことはできない。
もちろん、それを最大目標において守備するのはそうして欲しいものです。
そうするための工夫も必要でしょう。わざと距離を取り、パスを出させてそれを狙うとか、方法はある。
でも、インターセプトが無理だったなら、次はトラップする瞬間にそこで奪ってしまうことです。
それが無理なら、次は相手をそこで潰してしまうことです。
最低でも、前へ出させないこと。これは絶対にやらなくてはならない。
なるべく最終ラインの所までボールを出させるな。それが基本です。
だから、オフサイドを狙って3人でラインをキープするよりも先にやるべきことがある。
それがやれる状況なら、絶対的にやらねばならない。
中盤の底、ラインの前に人が揃っている状況ならば、無理してDFが飛び出すことはありません。
でも、こちらも攻撃するからには、できるだけ高い位置からプレスをかけたいからには、そして相手のボール回しや人の流れの速度がこちらを上回っていたならば、一番状況がよく見え、次の動きを予測して動くことが可能なDFが行くべきです。
時間的に、それを見てから例えば戸田がラインをカバーに行っても充分に間にあうはず。
その場合にこないだの宮本のように完全なるカラ振りでは間に合わないことも出てくるでしょうが。
ただし、宮本はカラ振りばかりだったとは言え、よく読んでいることも多かった。
だから余計に惜しいんですが、読んでいるのにスカっと躱されるのは、これはもう守備技術が低いと言わざるを得ない。
だから、読みは宮本ほど良くはない森岡が、仮に読んでないにしたってそこで相手を潰せているから、ぼくは「森岡の方がマシ」と言います。
どっちが好みの選手かと言えば、どっちかと言ったらぼくだって宮本ですよ。
クレバー、スマート、リーダシップあり。(キックが下手なのは許せないけど)
でも、現実にあまり役にたってない・・・
(ちなみにぼくは「もっとも優秀な成績な」のは森岡ではなく松田と思ってます。闘志、強さ(体ではなく)、広さ、速さでは試合に出ている現日本代表DFの中では一番)
前にも書いたように、現実的に松田があそこまではできている以上、バックスの中心がそれ以下ではぼくは認められません。
森岡にしたって、認められません。
今の宮本よりは「ちょっとだけはマシ」だから、しょうがないから森岡じゃねーの、って感じなのです。
もうひとつ。
>でも彼はF3を自分の思うように完全に機能させたときは大量には失点しないと信じているように見えるのです。
個人の能力を無視して、システムができ得ることなんてタカが知れている。
個人の守備能力がなくともシステムが優れていて、それを忠実に行えば強豪相手でも守れる、なんて幻想です。
どんなに優れたシステムでも、それを行うのは結局人間です。
人間が複数で行うには、「約束事」が必要であり、相手にそれを知られてしまえば対処の方法もいくらでも考えられてしまう。
約束事を知られた相手には、オフサイド合戦にしたって完勝は望めない。
10対1でも1失点になってしまうのです。
(現実には、もっとずっと勝率は下がるでしょうし)
それに、オフサイドでボールを取っても最終ラインからのFKでは相手の体勢は整ってしまうのです。
だから、ボールを流れの中で奪えなければ結局は不利な戦いになる。
ボールを相手からもぎ取るのは人です。
単純な理屈です。
大量失点しなければ良いのではなく、勝たねばなりません。
具体的に勝てるように戦うことを考えねばなりません。
当然の理屈です。
現実のサッカーの中で守備するのはシステムではなく人。
システムが守ってくれるわけではありません。
システムとは、「人がそれを行う時、やりやすくするための手助けをするもの」です。
主客転倒してはいけません。
意味がない時にまで「決まりごとだから守れ」なんて言うのは硬直した日本の会社だけでたくさんです。
どこをどう見たって車もバイクもいないのに、赤信号だからと止まっていて勝てる競争相手ではなくなったのです。
それがわからない宮本でもないでしょう。
そして、宮本ももうすでにF3の基本的やり方から応用編に入ってます・・・
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