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Re(1):訂正とお詫び
 glider E-MAIL  - 02/3/5(火) 16:37 -

引用なし
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   ▼GAITIさん:

まず、もう一度「トルシエ式フラット3」のラインコントロールに関わる部分の基本的約束事を整理しておきましょう。

ラインコントロールということに関わらず、このやり方では「ボールの移動によって全体のゾーンバランスを細かく修正する」ということです。
そして、最終ラインはフラットにしているので、当然ボールが上がればラインも上がり、ボールが下がればラインも下がり、右へ移動すれば右へずれ、左なら左へ、です。
相手ボールの時、相手が日本陣内に侵入してきた時も同様で、相手が縦へ入れればラインは下がり、バックパスすればラインを上げ、ボールが横移動すれば横へスライドして、ゾーンバランスを整える「基幹」になります。
こういう約束事をたっぷりと時間をかけて叩き込んだ以上、チームが機能している状態ではラインコントロールには誰が入っていても明確な差など出る余地はありません。
また、これまで見て来た中で、日本代表のバックス陣は明確な「オフサイド・トラップ」はあまり使っていません。
一見、トラップに見えるような「ラインの押し上げ」も、実はボールの細かな後方移動によるものがほとんどで、マスコミなどによる「オフサイド・トラップの多用は危険」という批判にも森岡、宮本、トルシエとも、「オフサイド・トラップはほとんど使っていない」とそのインタヴューで答えています。

つまり、チームの守備が正常に機能し、プレッシングがきちんとボールへかかっている時は森岡でも宮本でもラインコントロールに差は出ません。

問題は、ボールへのプレスが後手後手になり、相手がボールをある程度自由に回している時、相手攻撃選手に裏を取られはじめた時(あるいは取られると感じた時)の対応で、ボールへのプレッシャーがかかっていない時に、それでも約束通りラインを上げたりキープしたりするのか、という判断の部分です。
また、こちらが一定の約束事で動いている以上、相手がその約束事を知ることは必然的で、そうした場合の駆け引きはディフェンダーの能力として当然もっていなくてはならない部分であり、ラインディフェンスならばより重要な能力です。
システムとしての約束事がどうあれ、それだけで通じる相手ではない場合に、個人として、あるいは試合の中での打ち合わせによる3バックスとして、どう駆け引きするのか対応するのか、といったことには誰と誰と誰がバックスを構成するのかで「差」が出るのは当然であり、「経験値」が大きくモノを言うのは当然の部分でしょう。

プレッシャーがかかっていないのに安易に押し上げれば裏を突かれるし、かと言ってなるべく押し上げねばますますプレッシャーもかからなくなるし、相手のFWはこちらのラインの上下動に遅れることなく付いてきて裏を狙っているしで、もはや「約束事」なんて言ってられない状況の中でどうやって守るか、ということ。
そうした場合に、オフサイド・トラップを使える場面もあるだろうし、ライン上げずに対応した方が良い場合もあるだろうし、個人として独自に動かねばならないケースもあるだろうし、もっと重要なのはチームとしてゲーム戦略の中でどこにプレイエリアを設定すべき時なのか、今はどういう流れでどうするのがベストな時間帯なのか、という共通意識を持って、守備でも攻撃でも全員の連係をキープしてプレイするということ。
いかに頭脳的に守ろうとも3バックスだけで守れるわけはないのですから。
そういう意味で、チームの約束事がどうであろうと、ライン守備であろうとなかろうと、「やるべき時に全員でやるべき事をする」ということをせねば、試合のモメンタムは相手に傾いて行くのです。

何をもって「純度の高いラインディフェンス」というのかがよくわかりませんが、ラインディフェンスは万能ではなく、その実は言うなれば「駆け引きの能力」に支えられるのは必定であり、またいかに駆け引きに優れようともレベルの高いチーム相手に「ラインコントロール」だけで守れるなどというのは単なる幻想です。
同じく駆け引きに優れたFWを相手にした場合には、最終的には個人の判断のスピードや物理的なスピード、流れを見る目などがモノを言うのです。
コンパクトフィールド創出のため、相手の攻撃選手の動きの自由度を奪うため、動きの主導権をこちらに持ってくるため、プレッシングをかかりやすくするため、プレイエリアをできるだけ高くするため、ポゼッションサッカーを可能にするため、「ラインディフェンス」は必要です。
しかし、それにこだわるあまりにプレッシャーがかからないのでは無意味です。
大前提は、ボールへ可能な限り素早くプレッシャーがかかること。
にわとりが先か卵が先か、ではありません。
今の代表はいつまでもラインを維持しすぎているから、プレッシャーがかからなくなっているのです。

>他の2つ「前方へのプレッシングスピード」「3バックと中盤の連動性が(プレッシングという面では)低い」
>ということは「フラット3」というより「純度の高いラインディフェンス」のもつ生来的な欠点、というより特徴

>上げた場合は、FWをオフサイドを取ってしまい、下げた場合はディフェンスがFWから一定の距離をとりながら(ディレイしながら)下がり、
>MF陣の戻りを待つ、それによって相手選手に「戻ってくるぞ」という心理的プレッシャーをかけられます

いかに「精密なラインコントール」なるものをしようとも、ボールへのプレッシャーがかかっていない状況下では、駆け引きの面でも利は相手にあり、あくまでもラインを維持するなら突破は容易でしょう。
そういった場面でオフサイドトラップに掛かり続けてくれるようなFWは一流チームにはいません。
仕方が無いのでラインを下げて、「ライン前のフリースペース」を相手に与えることになる。
どんどん下がる。全体のプレイエリアも下がる。支配率も下がる。
悪いのは見た目だけじゃありません。
何のためのラインディフェンスかもわからなくなりますね。

最も肝心なのは「いかにボールへ素早くプレッシャーをかけるか」であり、そのためにはライン前に出るボールへのプレッシングをMFだけにまかせていてはいけないのです。
チームの完成度が高く、スペースの創出と使用、正確な瞬時の技術、そのすべてを素早く行える相手に対しては、ラインはライン、MFはMF、では全然追い付きません。
何のために稲本にバックス練習やらせたり、バックス経験のある戸田を起用したり、サイドハーフの選手やチーム全体にラインの動きを叩き込んだりしているのか。
3年近くかけて「オートマティズム」を刷り込んできたのか。
ラインがずるずる下がってディレイして、MFの戻りでいつもなんとかなるような相手なら苦労しません。
意味もないのに3人もで仲良く並んでズルズル下がってても守れるなら、99ユースの時の3バックスでも充分でしょう。
そんなユースレベル、アジアレベルのスピードは卒業しなくてはなりません。

ラインディフェンスに純度の高いも低いもありません。
使用する武器の使用頻度と使用精度があるだけです。
それはあくまでも相手のレベル、相手との力の相互関係にもよるもの。
そして、その武器はどんなに精度が高くとも時として無意味になるのです。
それがつまりはスピード。
相手が同等かそれ以上の速度をもつのなら、こちらも最大限のスピードを得るために、流動性を得なくてはなりません。
そのためのゾーンバランス、オートマティズム。
ひいてはそのためのフラット3。

もう一度、断言します。
いくらラインを上げてコンパクトフィールドを作り、ゾーンバランスを整えても、それだけではプレスはかからない。

だからといって、中盤の人数を増やし、中盤に守備力のある選手を配しても、局地的な時間軸の中では無意味になることも多い。
そして、そういった構成をすることによるデメリット。
やはり本質的な改善を計らねばならない。
それは各選手のプレッシングスピード、つまりは判断のスピード、1歩目のスピード、速く広く動く意識、それを可能にする連係とチームの完成度。
フラットラインを構成するのが常にバックの選手である必要などどこにもありません。
ライン前でプレッシャーをかけるのが常に「ボランチ」の選手である必要など、どこにもありません。

対人能力を優先して森岡を入れ、そのことによって波戸を入れて4バック化し、戸田を入れてライン前のプレスを強化している、というのは間違いです。
宮本を入れてラインオリエンテッドに守れば波戸や戸田の役割は変化するのか?
相手が強いチームならそれは今よりもっとひどくなるでしょう。
ましてや宮本は本気の強豪を相手にしたこともなく、フラットラインという武器が通じない時に総合的にどう対処するのかも未知数であり、それは経験でしか得られないということを考えれば、森岡や松田に対し明確に一歩遅れを取っている。
ラインの前への積極的なプレスのタイミング、プレッシャーのスピード、外も含めたプレスの中盤との連係と流動性、そういった面であきらかに遅れている選手を使うなら、戸田はもっと犬になり、波戸は完全にDFになって行くでしょう。

今の日本代表が強豪に相対する時に、ラインコントロールで守れるシチュエーションを増やして行くには、手段はひとつです。
ラインの前、外、あらゆる場所でもっとすばやくプレッシャーをかけれらるようになること。
そのためには、「まず」3バックスの選手がもっとスピーディに稼働範囲を広げること、中盤との流動性によるスピードアップ。(同時にカバーリングのスピード、連係の強化)
全員がゾーン移動の反応をもっともっと速くすること。

現代の強豪チームの極端なスピード化は、もはや3とか4とか言っている場合ではないように思います。
それはどこかの人数を増やせばいいというようなものではなく、局地的時間軸の中での選手の頭脳と判断速度の問題です。
限られた局地的時間軸の中では、いかに中盤の人数を増やしたとて、「ボランチ」を増やしたとて、それだけで速度アップに対応できるというようなことじゃありません。

「後は個人の能力をいかに上げて行くかだ」というトルシエの言葉は本音でしょう。
139 hits

続・3バックス GAITI 02/2/18(月) 3:22
  ラインディフェンスの破綻 GAITI 02/2/18(月) 4:45
  フラット3、その変遷 その1 GAITI 02/2/19(火) 15:15
   Re(1):フラット3、その変遷 その2 GAITI 02/2/24(日) 5:39
   訂正とお詫び GAITI 02/2/24(日) 5:59
   Re(1):訂正とお詫び glider 02/3/5(火) 16:37
   現代サッカーのスピード化 GAITI 02/3/5(火) 21:26
   Re(1):現代サッカーのスピード化 glider 02/3/6(水) 2:26
   Re(2):現代サッカーのスピード化 GAITI 02/3/10(日) 2:14
    Re(3):現代サッカーのスピード化 glider 02/3/13(水) 18:12
   Re(1):現代サッカーのスピード化 TK2002 02/3/8(金) 8:54
  Re(1):続・3バックス mitsu 02/2/22(金) 17:12
   Re(2):続・3バックス GAITI 02/2/24(日) 2:25
   Re(3):続・3バックス mitsu 02/2/25(月) 15:25
   Re(4):続・3バックス mitsu 02/2/26(火) 13:08
   Re(5):続・3バックス nana 02/2/26(火) 14:53
   3バックス、というかセンター候補雑感 TK2002 02/3/2(土) 11:36
   Re(1):3バックス、というかセンター候補雑感 TK2002 02/3/2(土) 11:38
   Re(2):3バックス、というかセンター候補雑感 glider 02/3/5(火) 13:27
   遅くなりました GAITI 02/3/3(日) 21:09
    Re(1):遅くなりました TK2002 02/3/4(月) 1:10
    Re(2):遅くなりました TK2002 02/3/4(月) 12:58
    日本代表、組織守備についての雑感 GAITI 02/3/6(水) 16:41
    Re(1):日本代表、組織守備についての雑感 TK2002 02/3/6(水) 22:15
    Re(2):日本代表、組織守備についての雑感 GAITI 02/3/10(日) 3:22
    Re(3):日本代表、組織守備についての雑感 TK2002 02/3/14(木) 0:09
    Re(4):日本代表、組織守備についての雑感 GAITI 02/3/16(土) 22:57
    Re(5):日本代表、組織守備についての雑感 TK2002 02/3/19(火) 15:47
    Re(4):日本代表、組織守備についての雑感 GAITI 02/3/16(土) 23:58
    補足 GAITI 02/3/17(日) 0:02
    Re(1):補足 TK2002 02/3/19(火) 16:04
    Re(5):日本代表、組織守備についての雑感 TK2002 02/3/19(火) 15:48
   お詫び GAITI 02/3/10(日) 4:36
   Re(1):お詫び mitsu 02/3/13(水) 13:05

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