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以前の(最近はセンターやらないんで)松田はラインコントロールにしても個人プレーに走りがちでした。例えば基本的なラインコントロール以外(ボールホルダーにプレスがかかっていない時であるとか、上げ下げの距離を長くしたり、短くする)の場面では声をかけたり、ジェスチャーしたりしてある程度周りに共通理解を与えていなくてはならない訳ですが、それなしに一人だけあがったり下がったりでは、周りはついてこれるわけはありませんし、森岡にしても慎重なのはいいんですが、積極的にオフサイドを狙った方がいい場面というのもある訳で、例えば相手がロングボール主体であったり、ショートパス主体であってもほとんどの局面でFWを使う(要するに二列目などからの時間差飛び出しがない)とか、パスの出所がハッキリしていればオフサイドトラップは有効な手段になりうる訳ですし、ゲームコントロールという観点でも攻撃的にいきたいときはもちろん、味方が疲れているときやコンパクトフィールドを取り戻すためには、ある程度リスクをしょってでも押し上げなければ行けないこともあると僕なんかは思う訳です。
で、宮本。「出来るだけフラットで」というのは彼の弁ですが、以前の宮本のラインコントロールはリスキーすぎましたね。純度の高いラインコントロールでキエーヴォが話題になっていましたが、22試合消化時点で4位、得点40、失点33。その他の上位3チームはローマ得点33失点14、ユベントス得点41失点15、インテル得点37失点19で、他チームに比べて得点も多いけど失点はそれ以上に多い。そういった安定感にかけたチームでW杯のような短期リーグ、トーナメントを勝ち抜いて行けるのか、というと僕は疑問に思います。
ただ、最近ではリスキーなラインコントロールを自重したり、前に出て行くことをし始めたので、ある程度周りとの連携であるとか、タイミング、思い切りなどの要素が向上していけば、W杯に間に合うかどうかは別にして、レギュラーもそんなに遠くはないかな、という印象です。少なくとも森岡よりもプレーの幅が広がってくる訳ですから。松田はラインコントロールも頑張っているんだけど、味方を統率し切れていないところが痛い。
余談ですが、トルシエの宮本起用で面白いのは、彼を起用するのは強豪、それもトップにボールが集まるチームなんですよね。そういった強豪を相手にした場合の森岡の対応のリスクと宮本のラインコントロールとのリスクを天秤にかけ、自分の理想とするチームに近くする事が出来る宮本を選んだのかもしれません。
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