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すいません、テスト週間に入って掲示板から離れてたんでだいぶ遅いレスです。
しっかし、gliderさんはホント凄い文章家ですね。ぼくが提出したあれだけの分量の文章をさばいて、それよりも遥かに多い量の反論を返せるとは。サッカーに対する情熱、表現に対する情熱が強くないと出来ることではない。ぼくはいまテスト期間なんで、なかなか同じペースでやるというのはきついんで(笑)。とりあえず、この件に関してぼくが述べるのはこれで最後ということで。またお付き合いしてやって下さい。ありがとうございました。
あ、あと私信なんですが、ぼく8月頭に東京に行きますんで、gliderさんの予定が宜しければ是非お会いしてお話したいです。宜しければ、メアド公開してますんでメール下さいな。僕がお送りするほうが筋ってもんなんですが、gliderさんのメアド存じ上げませんので。
以下、7月12日の時点で書き始めたレスを昨日仕上げたものです。サイドアタッカーに対する直接のレスにはなってませんが、まあ、ゾーンでちょこちょこと。
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ええと、なるほど、gliderさんと僕がここまで意見の食い違う理由というのが
ようやくこの回転の遅い脳味噌にも理解できてきました(笑)。gliderさん、
お付き合い下さってほんとにありがとうございます。色々勉強になりました。
えーと、要するに一番大きく、かつファンダメンタルな部分での食い違いは
ここにあったんですね。
>トルシエは、全然別の方向、ぼくらが思ってるのとはまったく別の方向で考えているように思います。
彼は、戸田にファースト・プレッシャーをかけてまわることを命じています。
>これはつまりは「5バック」は、「守りの時間」としての「オプション」だということ。
>だから「世界のベスト5相手であっても、中村や本山をサイドに配せられるようになることが今後の課題」
というセリフがでてくる。トルシエは、別に3バックの両サイドの守りの不安(?)に対し、
恒常的に5バックを選択したわけではないのです。
>相手がどこであろうと目標はあくまでも中盤支配であるし、中盤での激しいプレスに重点がおかれている。
>強豪に対して、90分間それを続けられるということも難しいだろうから、全体的にフォーリング・ダウンして5バック化して守るような時間帯も必要であろう、ということにすぎないと思う。
この部分の解釈がぼくとgliderさんと決定的に異なっていたことに気付くのがかなり遅れ、かように長いレスを書いていただくお手間を煩わせてしまったようです。どうも申し訳ありません、長文に接する際の読解力と洞察力をもう少し磨いてまいります。
ええと、それで。僕が上記のことに対してどう解釈していたかというと、まず「強豪国相手には5バックで守る時間が多くなる」。これは問題ないでしょう。
が、この後。「残り一年間で、『5バックでやる時間を短くし、普通のフラット3を敷いた、両サイドが高い位置でプレー出来る3バックのスタイル』、要するにポゼッションサッカー、自分たちが主導権を握ってプレーする時間が劇的に変わるとは到底思えない」と。gliderさんのお言葉を拝借しますと、「全体的にフォーリングバックする時間帯」は「試合中恒常的に続くもので、劇的な個人技術の進歩無しにそれが『増える』なんてことは恐らくないのではないか?」と。
僕はそういう解釈をしている訳です。それは、コンフェデ杯、大幅に主力を落としてきたにも関わらずあれほど強いフランスに対する日本の戦いぶりを見てはっきりと思ったことでもあるし、コンフェデ杯の各国の状態の悪さをみて「チームとしてのバランス及び選手個々の自信の回復以上の意味は持たないだろうな」という解釈が土台にあるからでもあります。
組織だったチェンジサイドからの11番の突破力を活かしたサイドアタックはあったものの、個々人の力量の低さはいかんともし難かったカナダ。2トップが前日に来日するなど、メンバー上はベストであるものの明らかにコンディション・モチベーションの低かったカメルーン。メンバーは3軍、それでも個々人のテクニックはあるものの組織的なサイド攻撃はなかったブラジル。大雨、ワールドクラスの3名を欠いていたということもあったが、攻撃のバリエーションに欠け日本5バックを揺さぶるほどの強さは持っていなかったオーストラリア。
ざっと流しただけですが、相手チームの問題点を挙げるだけでこれほど多くのものが出てくる。その中で唯一チームとして有機的に機能し、「ル・グラン・ブルーの一員になるチャンス」を求めた当落線上の選手がしのぎを削り、サッカーの文法を知り、オートマティズムを体現し、ピッチの上で常に論理的なプレーが出来ていたのが、圧倒的な戦績を収めたフランス。
日本チームがこれほど短期間でサンドゥニからの課題「3バックとアウトサイドの関係をより自由に、相手との力関係に応じて自在に高さを設定できるようになること」を克服し、中村俊輔と名波のいないチームに小野伸二・戸田和幸を見定め、右サイドからの攻撃に波戸康弘を見出し、圧倒的に層の厚いチームを作り上げたことは間違いなく称賛に値します。これは、フィリップ・トルシエの紛れもない功績。ここに関し異論を挟むことはできません。
ですが、一方で「相手国のコンディションは良くなかったし、日本ほど層の厚くない(自分で言ってびっくり。日本は層厚いです)国ではレギュラーメンバーとサブの差が激しかったし、サイドをきちんとした形で突いてきた国はカナダとフランスだけだった」というのも厳然たる事実としてあります。そして、その二つの国に対し、日本は効率的な攻めが出来ていない。カナダ戦の前半、フランス戦の前後半。課題は依然残ったままと言えるのではないでしょうか。
だからこそ、「もう5試合程度、強烈なサイドアタックを持つ国々とのアウェーゲームを戦って、日本がどのような『攻めの方策を持つ守り方』で戦えるのか、それを見極める機会が欲しい」と思った訳ですね。コンフェデ杯で当たった国々では計りようがないし、キリンカップでは尚更。松田の「もっと強い国とやりたい」発言、某トルシエ擁護サイトでは「サッカーの文化の無さ」、とトルシエの言葉を鵜呑みにした批判の的になってるようですが、どこが問題だってんですかね。松田にしては(笑)正当に相手を評価しているじゃないですか。この発言を「礼儀上」の問題にするなら、30分遅刻してもジャーナリストに一言も謝罪せず、頻繁に記者会見をすっぽかす某代表監督も批判されるべきなのに、そこに触れる人間は何故かいない。
と、話が少し脱線しましたが、ともかくキリンカップはどうでも良かった。そして、どうでも良い試合を組んだ協会の無能さに改めて腹が立った。「トルシエを全力でサポートするのではなかったのか?」と。
勿論、「チームとして遅攻での攻め方を確認する」というテーマを設けたのは良い。試合の一つ一つに意味を持たせなくてはならない。トルシエはそうするしかない。
でも、テーマを設定しても相手があれじゃ。チームとして連動していず、所どころプレスの甘さが出ていたパラグアイと、眠くなって詳しくはみていないユーゴ(すいません)。「弱い」とは言いますまい。「どの程度弱いか」なんてことは判らない。でも、彼らが「W杯開幕を1年前に控えた、真剣勝負の場が限られている開催国」の「ディフェンス」を強化する上で適当な相手と言えたでしょうか?日本チームの問題点はまず「5バックになってしまう場合どう攻めるか」であり、遅攻での攻め方は確かに大事ですけども、それだけではやはり不十分と言えるのではないでしょうか。この2戦、日本がどの程度押し込まれたか?どの程度組織だった攻撃に曝されたというのか?この2戦で日本が主導権をある程度握れたのは、ほんとうに日本代表チームの完成度が高まったから、ただそれだけなのか?
さらに、gliderさんはスペイン戦を「緊急避難」と捉えられておられるようですが、ぼくはトルシエが何と言おうがいまいち信用できない。五輪の前、彼は何て言ってましたっけ?五輪の南ア戦後、彼は何て言ってましたっけ?あの稲本―明神―酒井の唐突な「3DH」、「切り札」にしていたはずの本山をほんのわずかの時間しか「使えなかった」こと、「4人で攻めてこい!」発言、アメリカ戦で「動けなかった」こと、個人的に言えば「ボランチ」である遠藤ヤットを18人枠から外していることなど…物的証拠は多い。
彼は現実主義者です。かなりの、徹底した。彼は「間に合わない」と思えば必ずああいった守備的な布陣を敷く。そして、彼はおそらく現段階でもそう感じている。僕も、彼が「強豪国相手でも攻める姿勢を貫く」と思ったからこそサンドゥニ戦での戦い方に大いに不満があったし、「守備的に行く」発言を聞いて一時期「諦観派」にもなった。「哲学を曲げた」と思ったからです。
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