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▼gliderさん:
>『公式ガイドブックプレビュー号』
>ってなんですか?普通に書店で買えるものですか?
>トルシエは、22人に絞らなくてはいけないワールドカップにむけての最終選考を
>「監督としてもっともつらい仕事」と言っているようですね。
>フランス98では、「負けたら即時国外逃亡」を決めていたというジャケ。
>どんな「極限的な冷徹さ」を持って世界チャンピオンの座を手にいれたのか・・・
>興味をそそられます。
>あ、でももしかしてフランス語?
これは2002日韓の『公式ガイドブックプレビュー号』ですよ。本屋で買えます。講談社、5月23日発行、本体1238円。あくまで前大会優勝監督としてのジャッケのインタビュー。
その中でジャッケは、トルシエのやり方を『まさにフランス流のやり方』『フランス人監督のスペシャリティー(特性)』と評した上で、
『具体的には選手をメンバーから外してみたり、選手の組み合わせを変えてみたり。とにかくチーム内にライバル意識をもたせることが重要になってきます。
確かに人の気持ちを揺さぶるようなことをするのは、気持ちのいいものではありません。でも必要なのは、チーム内につねに緊張度の高い雰囲気を作りだすということなのです』
と語っています。
つまり、ジャッケ、トルシエ、ルメール、ルシャントルといったフランス人監督達がとっている手法は、当然それぞれの個性はあるでしょうが、こと「チーム作り」に関しては80年代前半以来のクレール・フォンテーヌにおける指導理論に基本的には従っているのではないかと思われます。それがアヤックスを一つのモデルとしていることも考えられます。
ヴェンゲルの場合は世代的にも、クラブ監督という意味でも少々違うかもしれませんが、絶えざる新人発掘、クラブハウスの施設といったインフラの整備を重要視していることなど、やはり大きな意味でのメトード・フランセーズに思えます。あるいはジェラール・ウリエも。
こうした育成と一体になったやり方は、一方で短期間では結果が出にくいという欠点があるでしょう。協会が経済的に破綻寸前かつせっかちで、内部分裂の激しいアフリカ大陸にはかえって不向きですらあるかも知れません。実際ピエール・ルシャントルは、カメルーン監督になったり解雇されたりの連続です。彼はアフリカ選手権に優勝させたあと退任し、後任のアコノ監督が、シドニーで五輪組を優勝させてからWC予選で少々足踏みしたところで解任された後呼び戻され、コンフェ杯GL敗退で今度は解任。
しかし、単に「誰かフランス人がずっと代表監督でいるかどうか」を別にすれば、カメルーン・サッカーの躍進は、ロジェ・ミラ〜エムボマという系譜だけでなく、クロード・ルロワ〜ルシャントルというフランス人監督の系譜としても捉えることが出来ますし、アコノ監督もそれに学んできたはずです。ブルキナファソでは、トルシエの後にベルギーのテールマンを呼び、その解任後は、トルシエの下でコーチを務めた2人の同国人による二頭体制を選択しました。
つまりメトード・フランセーズの実効性は、フランス代表やトルシエ、プレミアにおけるフランス人監督の成功などだけでなく、その時にフランス人が監督をしているかどうかに関わりなく、カメルーン、セネガル、モロッコといったフランス語圏のアフリカ諸国が、各世代でどの程度安定した成績を残していけるか、によってもある程度検証することが出来るでしょう。
もちろんこれはフランスだけではないので、オランダのヨンフレールによるナイジェリアの五輪金メダルなどもそうですが、「アフリカ勢の躍進」は一面では「欧州的育成・指導の躍進」であるといってよく、それがアフリカ特有の経済的・民族(紛争)的側面に制限されながら進んでいると考えられます。一方、先日の対パラグアイ1.7軍戦や、コンフェ杯の対ブラジル戦、韓国の対メキシコ純国内代表戦などにもみられるように、「強者としての南米とは、要するに欧州リーグ在籍の南米選手である」といってもいいような状況にも拍車が掛かっています。つまり現在のサッカー勢力図は、いかにして欧州に学ぶかあるいは欧州を利用するか、という様相を呈しているといってもいい。
現在のアルゼンチンは、リーベルとボカを頂点とした国内リーグがすでに十分「南米際的」であるということに加え、特にイタリア・スペインとの歴史的な太いパイプの影響もあってか、実に理想的なかたちでセリエとリーガを利用しています。バティ、クレスポ、ヴェロン、アイマール、リケルメと、同国の才能は早くから欧州リーグによって見出され、育てられ、最終的な仕上げをされて代表へと環流します。ブラジルは何でそれがうまくいってないのか、というのはちょっと判りませんが(笑)、もともと南米で最も欧州的な国ではあります。
ところが、こうした構図を欧州自体のなかで探すと、それはやっぱりまずはフランスなのですね。フランスリーグのレベルは欧州トップではないにも関わらず、同国の才能は、ただちに四方に位置するセリエ、リーガ、プレミア、ブンデスに吸収され鍛えられる。自身が欧州の中央に位置しながら、欧州を利用する面でもフランスは、少なくともオランダを追い抜きつつあるわけです。
日本の場合、明治大正期以来の交流もあってブラジル・サッカーの影響が強かったわけですが、プロ化とある程度自力で行ってきた育成システムの整備、そして安定した経済と政情という点を生かせば、短期間にアフリカのトップ・グループに肉薄することも不可能ではないと思います。
フランスを現時点での頂点とする欧州に育成・戦術面で学び、一方選手移籍という形で欧州リーグのトップレベルを利用しつつ、ブラジルのスピリットとテクニックの吸収を続け、お隣の韓国のフィジカルや競争心と常に切磋琢磨する、という理想的な構図が、徐々に形成されつつあります。
これは、日本が上ばかり見て下を見ることをおこたらない限り、つまりベトナムやタイをはじめとする近隣諸国のサッカーに対しても「強敵の育成」という態度でのぞむなら、東アジアのサッカーにおける真の「盟主」としての地位を約束してくれるでしょう。
ああああ、ぶち上げてしまったな(笑)
私の場合、最初にあるいは勢いで浮かんだことは、すぐに書くかどうかはともかく、消さないんですよ。だってプロでも何でもないし(笑)
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